すい臓がんはなぜ早期発見が難しいのいか? その理由と自覚できる初期症状
胃がんや大腸がん、肺がんや乳がんのように、検診や自己検診で見つけにくいがんがあります。すい臓がんは、その代表的な疾患です。
見つかりづらく、治療成績が良くないことの理由は、すい臓が周囲を胃や腸、肝臓や胆嚢にかこまれた体の中心部近くにあることとともに、初期にほとんど特徴的な症状がないことが上げられます。
しかし、患者さんの訴えで多いのは、何となく胃のあたりがすっきりしない、背中の方が重たい感じがする、食欲がない、便通が不安定といったものです。こういった症状のほとんどは心配ないものですが、もし、症状が長引いている場合や、徐々に強くなっているような場合には、一度、内科の先生にご相談になることをお勧めします。
すい臓がんの症状……進行すると黄疸・嘔吐も
すい臓がんが進行したときには、局所の進展による症状と、遠隔転移による症状が見られるようになってきます。 |
1)すい臓がんの局所の進展による症状
すい臓がんができる部位によって、症状の出方は異なります。すい頭部と呼ばれるすい臓のうち十二指腸よりの部分にできた場合には、腫瘍の増大に伴って、胆汁の流れが障害されるようになり、黄疸が出現することがあります。
また、周辺のリンパ節が腫れることも重なって、消化管の通過障害が出現し、食べたものを嘔吐してしまうといった症状も出てきます。
さらに、後腹膜と呼ばれる背中側の神経叢に浸潤していくと、強く持続的な痛みが出てくることがあります。
すい臓からは、インスリンという血糖を下げるホルモンが分泌されていますが、すい臓がんによって血糖値が上昇したり、糖尿病が悪化したりすることがあります。
2)すい臓がんが他の臓器に転移することによる症状
すい臓がんも、他のがんと同様に、骨や肺、脳への転移が認められますが、血流の関係もあり、肝臓への転移が多く見られます。肝臓への転移によっても、黄疸が見られることがあります。
また、がんに共通のことですが、特に要因なく体重が減少したり、帯状疱疹(ヘルペス)を発症する場合には、何らかの悪性疾患の存在も疑われますので、万一、このような兆候が出た場合には医療機関を受診するようにしてください。
すい臓がんを早期発見するために重要な「定期健診」
治癒率をあげるためには、早期発見・早期治療が大切です。早期発見のためには、初期症状に注意すると共に、やはり、年に1回の定期的な健康診断を受けられることをおすすめします。【関連記事】