普通に性交できる人が、水着の進化のような変化を期待してED治療薬を飲むことは認められていません |
では、ED(勃起障害・勃起不全)でない、健全な勃起力のある人が単に持続力を高めたいという目的だけで治療薬を服用するとどうなるのでしょうか。残念ながら、信頼に足る統計的なデータはありませんが、そういう人の服用には特別の効果も利点もないと思います。
健全な勃起力を持ち普通に性交できる人がわざわざ飲む必要はありません。頭痛でない人が頭痛薬を飲んでも意味がないのと同じことです。
認められていない、ED患者以外への処方
やや硬い表現になりますが、ED治療薬の効果は「陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、海綿体洞への血流を増加させる」ことによって陰茎を勃起、維持させる点にあります。
そのポイントをごく簡単に言うと「勃起状態を終わらせる性質を持つ酵素(PDE5)の働きを弱めること」ということになります。つまり、勃起を静めようとする働きを邪魔して、勃起を長引かせようというわけです。
健康な男性は、勃起成立後に硬直した海綿体そのものが陰茎内の静脈を適度に圧迫することで血液の流出が妨げられるため、自然に勃起が持続します。従って、勃起維持のために薬の力を借りる必要がありません。
ED治療薬は満足な性行為を行うのに十分な勃起とその維持ができない患者さんを対象に処方される医薬品ですから、健全な勃起力のある男性が服用しても意味がないのです。
ED治療薬の服用によって、危険な状態に陥る恐れのある人がいるため、厚生労働省も製薬メーカーも、医師がEDと認めた患者さん以外への処方を認めていません。
精力増強剤としても使えない
ED治療薬を巡る大きな誤解の1つに「勃起させる薬」という捉え方があります。
ED治療薬を服用することで性欲が高まったり、陰茎が自在に勃起したりすることはあり得ません。ましてや、精力増強剤や催淫剤の類でもありません。ですから、そのような目的で使うのは根本的に誤りです。
さらに言えば、性的刺激や興奮がなければ、ED治療薬を服用しても勃起は起こりません。あくまでも、勃起の手助けが目的です。
ED治療薬は性的刺激を得て、初めてその効果を現します。ですから、もともと性欲のない人には適用すべきではありません。