性欲は幻想?
男の性欲は「射精と共に去りぬ」… |
性欲は食欲とは違い個体の生命維持には関係のない欲なので、無くなっても不思議はありません。在ると思えば在る、無いと思えば無いというような幻想的な面を持つ欲なのです。さらに性欲は人間関係やライフスタイル、文化や思想などによって変化していく欲でもあります。
このことは岸田秀氏(心理学者)の「性的唯幻論」に書いてある「性欲は幻想だ」という考えを元に私なりに解釈して述べていることです。いまだ性欲はあって当たり前、「性欲は本能だ」とまで思い込んでいる方が圧倒的に多数です。でも、もしかしたら性欲は幻想かも?と考えると辻褄(つじつま)が合うことも多くあります。
射精によって男の性欲は一気に消失します。性交中は夢中で行っていたことが、射精直後、現実を白々しく感じた体験は男なら誰でもあるでしょう。性欲は永遠にあるものではなく、無常な欲です。平常時から性欲は常にオンになっているものでもありません。
そのような無いかもしれない性欲をあると信じているだけで、心底したいと思ってしていないから途中で萎える。つまり、たいして性欲がなかったのにしていたから、ふっと覚めてED状態になることもあるのではないでしょうか。
EDは男の業(ごう)
性交とは愛し合うことなのでしょうか?先にお話したように、女性には「愛→愛し合う→愛の性交」という愛と性のベクトルがあります。ですから、女性はパートナーとしばらく性交していないと最近愛し合っていない……と寂しくなったりするようです。
しかし、男にとって「性交は性交」です。男の浮気が発覚すると女性が逆上するのは、他で愛し合う性交をしたと思うからです。女性にとって「性交は愛」なので、それを盗られたと逆上するのです。
一方、浮気した男は欲情にかられて他の女性といやらしい性交をしたが、愛することをしたとまでは思っていません(本気の場合は除きます)。男が性交するためには欲情とそれに伴う勃起が必要ですが、「性欲は幻想に近く、実際に在るとは限らず、愛と性は一致しているわけではない」。このような状況で、常に完璧な勃起を維持できる男はいないのではないか。
結局、EDは男の業であり、このすれ違いを根本から変えることは難しく、その隙間を補ってくれるようなものがED治療薬ではないでしょうか。今回は、これまでとはまったく違った観点からEDを考察してみました。