依存症/アルコール依存症

アルコール依存症Q&A

長期間の大量飲酒は破滅的な結果を招きます。アルコール依存症についての正しい知識は是非、身に付けておきたいものです。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

アルコールが好きな方は長期間の大量飲酒で何が起きるか知っておく必要がありますよ

アルコールが好きな方は長期間の大量飲酒で何が起きるか知っておく必要がありますよ

「○○の無い人生はつまらない」この○○には何が入ります?恋、それとも、音楽、ひょっとして、ギャンブル?酒というのも結構、多そうです。

でも、それだけで「あなたは依存症?」と疑いの目を向けては失礼ですね。お酒にはいろいろ良い点がありますし。例えば、酒が入ると普段、言い辛い事もざっくばらんに話し合えたり、恋人とロマンチックな時を過ごせたり…。また、酒を嗜む人はまったく飲まない人に比べて心血管系の病気に罹りにくい事もわかっています(少量の話ですが)。

しかし、アルコールがらみのトラブルは多いです。例えば、二日酔いで会社をさぼったり、飲み会の後、どうやって家にたどり着いたか覚えていないといったことはなかったですか?一度や二度ぐらいなら問題ないですけど、こういった事が頻発するようでしたら危険信号です。アルコールに心も体も依存してしまい、自分の力で飲酒をコントロールできない状態(アルコール依存症)かもしれません。今回はアルコール依存症について気になる点、誤解されやすい点をQ&A形式で紹介したいと思います。

アルコール依存症についてよくある質問

1. アルコール依存症は病気なの?
2. アルコールを大量に飲み続けると、どんな悪いことがおきるの?
3. アルコール依存症は簡単に治る病気?
4. アルコール依存症の治療にはどんな薬があるの?
5. どうしたらアルコール依存症とわかる?
6. どのような人がアルコール依存症になりやすいの?

これらのよくある質問にお答えします。

1. アルコール依存症は病気なの?
大多数の人はお酒を問題なく飲まれれているわけですから、「アルコールで問題を起こす人=だらしない人」的な誤解があると思いますが、その実態は、本人の意思の力で飲酒をコントロールできないほど、アルコールに心も体も依存している病的状態です。長期間にわたる過量のアルコールの摂取が原因ですが、依存症を起こす物質には、他にも、睡眠薬、シンナー、覚せい剤といったものがあります。

2. アルコールを大量に飲み続けると、どんな悪いことがおきるの?
アルコールを長期間、過量に摂取すると、いろいろな悪影響が体に起こります。脳細胞の一部が破壊され、脳の機能は低下し、肝臓には脂肪が蓄積して脂肪肝になり、アルコール性肝炎、肝硬変と段階的に肝機能は低下していきます。また、インポテンスになったり、老化が早まります。アルコール依存になると、口にするのがアルコールだけの場合も少なくなく、栄養不足、特にビタミン不足が問題です。問題は身体面だけでなく、精神的にも、うつ病、不安障害といった心の病気になりやすく、また、自殺のリスクが高くなります。

3. アルコール依存症は簡単に治る病気?
アルコール依存症は簡単に治る病気ではありません。最も大切なのは、本人が「何としても立ち直ろう」と強い意思を持って、アルコールを完全にやめるというゴールへ向かっていくことです。飲酒量を減らせば大丈夫という考え方は大変、危険です。心と体がアルコールを覚えてしまっているので、アルコールを一口、口にするとすぐに抑制がきかなくなり、元に逆戻りしてしまう危険が強いので、完全に断ち切らなくてはなりません。

4. アルコール依存症の治療にはどんな薬があるの?
残念ながら、アルコール依存症を治す薬はありません。薬物は断酒の手助けをする目的で使用されます。例えば、気分の落ち込みが強い時は抗うつ薬、不安が強い時は抗不安薬、また、幻覚がある場合は抗精神病薬を使用します。また、お酒を飲むと気持ち悪くなる作用がある薬もあります。

5. どうしたらアルコール依存症とわかる?
アルコールを飲まない時に何が起きるか見てみましょう。「全然、平気!」なら大丈夫。しかし、不安、動悸、手の震えなどが現れたら要注意。依存症の疑いがあります。

6. どのような人がアルコール依存症になりやすいの?
子供の頃、虐待を受けて心に傷を負っている人、日常のストレスが強い人、また、気分の落ち込みが強い人はアルコール依存症へのリスクが高くなります。アルコールが、心の中で抱えている問題から逃れる(一時的ですが)為の手段になってしまうからです。

アルコールは日常にあふれていて、容易に手に入りますが、長期の大量飲酒が破滅的な結果を招くことはあまり深刻には認識されていないかもしれません。アルコールの危険性を知らずに飲み続けて依存症になってしまうのはとても残念ですので、アルコールに対する正しい知識は是非、身に付けておきたいものです。
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