尿路結石の診断と治療
健康診断の超音波診断で異常が見つかることも
■超音波検査で見つかる尿路結石
尿路結石の初期症状は血尿と痛みです。最近は健康診断のメニューに含まれた超音波診断で見つかることもあります。超音波やレントゲンで確定診断します。
小さい結石であれば水分をたくさん取ることで自然排出が期待できます。なかなか自分で排出できないような大きさの場合や、痛みが強くて待機できない場合には体の外から衝撃波を当てる「体外衝撃波による結石破砕治療」を行います。これは第一選択の治療法です。
それでも砕けない結石の場合には内視鏡を使います。尿管であれば、尿道から細い内視鏡を入れて破砕して摘出(経尿道的結石摘出術)します。腎臓であれば、背中から経皮的に穴をあけて内視鏡を入れ、直接腎臓内の石を破砕・摘出する治療法(経皮的腎結石摘出術)もあります。
■再発予防には水分をたくさん取ること
こうすれば必ず結石を予防できるという食事療法は確立していません。基本的には水分をたくさん取るように努めることが大切です。
結石で一番多い成分であるシュウ酸をあまり取り過ぎない心がけも大事です。尿酸結石やシスチン結石のような代謝異常による結石には薬を処方し、成分を抑えたり石を溶かしたりします。
間質性膀胱炎の診断と治療
■決定的な治療方法がない間質性膀胱炎
現在、間質性膀胱炎を完治させる有効な治療法がないのが現状です。
最初に行うべき対処は、診断と治療を兼ねた「膀胱水圧拡張術」です。麻酔下で、膀胱内を内視鏡で見ながら、膀胱の中に700~80ccの水を入れて膨らませるものです。
膀胱から水を抜くときに膀胱中の血管が断裂して出血したり、潰瘍ができたりします。それで間質性膀胱炎という診断がつきます。この処置により、痛みが消え、尿がたくさん溜められるようになることもありますが、効果は一過性です。
■DMSOを膀胱に注入する治療も
効果の明らかな内服薬はありませんが、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)という試薬を膀胱の中に注入する治療法も行われています。その薬の効果のメカニズムは十分には解明されていませんが、膀胱壁内の細胞がヒスタミンや他の炎症物質を出すのを抑制する効果があるとか、血管に作用して改善の方向に向かわせるとかいわれています。
DMSOの膀胱内注入治療は30年以上前から行われていますが、日本では製剤として販売されていません。一定の効果はあるものの、正式な薬剤ではないので、保険適用ではありません。とはいえ、DMSOは標準的な治療法の1つと考えてよいでしょう。間質性膀胱炎では、症状を見逃さないことが肝心です。
腎盂尿管がんの診断と治療
■複数の画像診断も取り入れる
腎盂尿管がんの診断では、尿検査、尿細胞診、超音波検査、排泄性尿路造影、膀胱鏡検査、逆行性腎盂造影検査などを行います。
このうち、排泄性尿路造影は造影剤を静脈へ注射もしくは点滴し、数枚の腹部レントゲン写真を撮り、腫瘍の有無を確認します。膀胱鏡検査では、尿道口から細い内視鏡のカメラを挿入し、膀胱内の腫瘍の有無や左右の尿管口からの出血の有無を確認します。
また、逆行性腎盂造影検査では、患側の尿管口から細いカテーテルを挿入し、腹部レントゲン写真を撮りながら、造影剤を用いて直接、腎盂、尿管内の異常所見を検査します。
■腎尿管全摘と膀胱部分切除が標準治療
腎盂尿管がんの治療では、転移がない場合は腎臓、尿管と尿管口周囲の膀胱壁を切除する腎尿管全摘・膀胱部分切除術が標準治療です。
術後の入院期間の短縮、疼痛の軽減などの利点を有する腹腔鏡下手術を行っている病院が増えています。他臓器、リンパ節や骨に転移のある場合には、抗がん剤を用いた全身化学療法を併用した治療が個々の症例に応じて行われています。
表在がん(がんが筋層まで達していないもの)の場合、5年生存率は80%以上。浸潤がん(がんが筋層あるいは筋層を越えて浸潤しているもの)の場合、5年生存率は30%前後。転移のある場合には、さらに成績が不良です。
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