尿路結石
生活の質を低下させる尿意切迫感や過活動膀胱
腎臓、尿管、膀胱に結石ができることがあり、総称して尿路結石といいます。
結石の存在する部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石と呼ばれます。結石は通常腎臓で形成されますが、腎臓でできた結石が尿管に落ち込んで尿管を詰まらせることもあります。
膀胱の結石は、腎臓で作られた結石が膀胱まで運ばれてくる場合と、排尿障害のために膀胱に残尿があるために膀胱内で形成される場合があります。
尿に含まれる尿酸、シスチン、リン酸、シュウ酸などが結晶化して結石が作られます。結石のために血尿がみられることがありますが、尿管を閉塞すると背部に鈍痛あるいは激痛を引き起こすことがあります。
感染症
■原因不明の炎症
膀胱痛や頻尿、尿意切迫感などの症状を引き起こす炎症性疾患に間質性膀胱炎があります。膀胱の章で触れた急性膀胱炎が細菌感染で、治療により完治する病気であるのに対して、間質性膀胱炎は原因不明の炎症性疾患で完治の難しい病気です。
症状・経過は特徴的で、まず、最初はおしっこが近くなり、尿意切迫感などの過活動膀胱に類似した症状がみられますが、進行すると痛みが出てきます。
■別名、骨盤痛症候群
この痛みは、尿が溜まったときに生じるという点が特徴です。尿が溜まると痛くなり、排尿すると楽になるということです。
痛みを感じる場所は尿道ばかりでなく、下腹部や肛門、会陰部、膣、腰部など骨盤内の広範な場所にわたります。このため、「骨盤痛症候群」と呼ぶこともあります。
■1日30~40回トイレに行くことも
痛みが出始めるにつれて、膀胱の容量が少なくなり、尿をたくさん溜められなくなってきます。尿が溜まると痛みを覚えるので、痛みから逃れるためにおしっこをする回数が増えます。ひどい場合には1日に30~40回、夜間でも10回トイレに起きるという状況を招きます。
■尿所見がないのが問題
間質性膀胱炎の問題は尿所見がないことです。つまり、おしっこに異常が見つからないのです。他の尿路系疾患で診断の目安となる血尿、細菌、あるいは白血球も確認できません。
このようなわけで、この病気になった人はたいていの場合、(1)膀胱炎だと思って内科を受診するが、おしっこはきれいだし、出された薬も一向に効かない(2)そこで、改めて泌尿器科を受診するが正しく診断されない(3)あちこちたらい回しされた挙句、精神科の受診を勧められる(4)万策尽きて、専門病院を訪れる――といった経過を辿ります。
間質性膀胱炎はもちろん、精神的な疾患ではなく、尿路の病気で、とてもやっかいな病気です。
■だんだん進行していく
間質性膀胱炎の説明に特にスペースを割くのは、これまで紹介してきたように、病気自体の存在がほとんど知られていないからです。一般の内科の先生ばかりでなく、5、6年ほど前までは泌尿器専門医でさえ頭に思い浮かべるのが難しい病気でした。
間質性膀胱炎は原因が不明であるばかりか、標準的な治療方法も確立していません。しかも、症状はだんだん進行していきます。
病気の歴史そのものは古く、米国では原因究明や治療研究のために国立衛生研究所から資金が出ていますが、残念ながら日本では病気の存在さえ知られていません。その意味で、あえて紹介しておきます。
腎盂尿管がん
腎臓で作られた尿は腎臓内の腎盂を通って尿管へ流れ、最終的には膀胱に溜まり、尿道を通って体外へ排泄されます。この通り道である上部尿路にあたる腎盂と尿管にできるがんを腎盂尿管がんといいます。
発がんには喫煙、化学物質、がん遺伝子、がん抑制遺伝子などが関与しているといわれています。80%以上で肉眼的血尿がみられます。また、腫瘍や凝血塊によって尿流が妨げられると水腎症になり、腰痛や背部痛が現れます。
泌尿器科検索