/薬の基礎知識

同じ成分で似ているパッケージの薬の謎(2ページ目)

薬局で、「あれ? パッケージや名前が似ている…」「値段は違うのに成分は同じ?」という商品を見たことがありませんか? 今回はOTC(一般用医薬品)の製造承認についてご紹介します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

似た薬でも値段に差がある理由

以前、窓口で「同じ成分と成分量なのに、値段が違う商品がありますが、高いほうが効くのですか?」と、聞かれたことがあります。前頁で、基準に合っている商品が承認されていますので、効き目は同じです(といいますか、同じでないとまずいです…)。

値段に差がある理由は色々考えられますが、主に次のことがあると思います。

■原材料の価格の違い
漢方などは、特にそうですが、自然物を原料としているためその年によって同じ質のものを入手できる量が異なることがあります。そのため、価格変動があり、原価が高くなってしまう場合があります。そのことを見込んでいるメーカーは、値段が高くなることもあると思います。

漢方ではなくても、企業力によって原料を入手する価格が異なることがありますので、影響はあるでしょう。

■広告宣伝費(販促費)の違い
有名なメーカーは、皆さんに幅広く知ってもらって買ってもらえるように広告宣伝費(テレビコマーシャル、雑誌、新聞、店頭広告、営業員など)をかけています。そのため、商品の値段が高くなることがあります。

一方、あまり聞き慣れないメーカーの商品は、販促費をかけていないのでその分安くできるのです。

■アピールポイントの違い(他社製品との差別化)
商品を売るためには、色々なアピールポイントがあります。ブランド力、成分やパッケージ、宣伝などで、アピールしますが、「価格の安さ」もアピールになります。そのため、価格が安いことをアピールして売れるようにしているのです。
 
皆さんはどうでしょう。安いことを重視しますか? パッケージのよさや使いやすい形を重視しますか? この重視するポイントこそ、メーカーがアピールしている点(差別化)です。

このように、メーカーは、皆様に安心できるよい製品を届けるために色々な努力をしているようです。


今回は、薬自体の話から少し離れましたが、また、このような業界のお話もご紹介できればと思います。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。

【参考資料】
・一般用医薬品製造承認基準
・医薬品承認申請ガイドブック 2006 
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