社会ニュース/よくわかる政治

堕ちた英雄、ムガベ大統領

南部アフリカのジンバブエが揺れています。黒人政権ができてからおよそ30年、ジンバブエは模範的な国家だとみられていたのですが……原因は「英雄」ムガベ大統領にあるようです。

執筆者:辻 雅之

ジンバブエってどんな国?

煙
ジンバブエの位置。
アフリカのジンバブエが、大統領選で揺れています。国際的にも大きな問題になっています。

ジンバブエという国はイギリスの自治植民地として成立し、1965年、「ローデシア」という名前で支配者だった白人による政権によって、「独立」が行われました。この少数白人政権は黒人差別政策を行ったので、この政権は内外から大きな非難を浴び、武力闘争も起こります。

1980年、それまで反政府ゲリラ闘争を指揮してきたムガベ氏が首相となり、国名を「ジンバブエ」として正式に独立。後に大統領となる彼は、白人との融和政策を進める寛容さをみせ、欧米からも高く評価されました。

どんな英雄も独裁者になってしまう?

ムガベ大統領はその後大統領選挙で4選を果たしますが、そのなかで次第に独裁色を強めていきます。

2000年には白人大農場の強制収用(ファスト・トラック)を開始するなど徐々に強権的な面を見せ始めたムガベ大統領は、2002年の大統領選で野党党首チャンギライ氏との一騎討ちの際、選挙不正疑惑がもちあがると治安部隊によるデモ鎮圧、野党指導者逮捕という行動に出ます。

その後も野党への弾圧を続け、欧米との関係は悪化。そして今年の大統領選をめぐり「弾圧が続いている」と決選投票不参加を決めたチャンギライ氏に対して、あくまで決選投票を強行、ムガベ大統領は政権維持に躍起です。

国連や、隣国で組織される南アフリカ開発共同体(SADC)も懸念を示し、仲介しようとしていますが、ムガベ大統領は聞く耳持たず……どんな英雄も、権力の座にいれば必ずこうなってしまうのでしょうか?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます