テロ支援国家になるとどうなる?
「大国の論理」で拉致問題は置き去りにされてしまうのか? |
指定されるとアメリカの輸出管理法により、次の措置がとられます。
(1)指定国への武器関連の輸出・販売禁止
(2)指定国の軍事力・テロ支援能力を著しく増強する可能性のあるもの・サービスの輸出について30日前の議会への通知義務
(3)指定国への経済援助の禁止
(4)指定国への金融などの規制
つまり「テロ支援国家」に対して経済制裁を行うというわけです。指定の効果についてはいろいろいわれていますが、2003年末、大量破壊兵器開発計画の放棄を発表し指定から外れたリビアは、石油という資源にも支えられ、次第に経済的に好転しはじめています。
焦るアメリカ、笑う北朝鮮?
さてここにきて、ライス国務長官が北朝鮮のテロ支援国家指定の解除方針を打ち出しました。拉致問題を抱える日本にとってはまさに寝耳に水、大きな騒ぎになっています。アメリカは今、4つの重大な安全保障問題を抱えています。それはイラク、アフガニスタン、イラン、北朝鮮との問題です。このうち、北朝鮮との核問題については、北朝鮮がイスラム原理主義とは無縁なだけに、解決しやすいところです。
ブッシュ政権の任期も来年1月19日まで。なんとか「テロとの闘い」の「成果」を1つでもあげておきたい……ライス長官の発言には、アメリカの「焦り」が感じられます。
「正義の闘い」のはずだったイラク戦争が泥沼化して以降、ブッシュ政権の現実主義へのシフトは進んでいます。アメリカの脅威である北朝鮮核の無能力化を優先、人道的なことはその後、ましてや外国の人権問題=日本の拉致問題などは……そんな大国の思惑に、またしても日本は翻弄されてしまうのでしょうか。