マレーシア政治のしくみ
シンガポールを除く東南アジア諸国のなかでも、タイと並んで経済発展が順調なマレーシア。一人当たりGDP(名目)も5000ドルを超えるようになってきました。マレーシアは第2次世界大戦後の1957年、マラヤ連邦として独立します。その後シンガポールが独立し、現在の領土となっています。
マレーシアは王制です。イスラム教を連邦の宗教とするマレーシアでは、イスラム世界の王・スルタンを9人のスルタンのなかからスルタン会議で決定しています。現在のスルタンはミザン・ザイナル・アビディン国王で、2011年末が任期です。
事実上は、議院内閣制です。
とはいえ、独立以来、UNMO(統一マレー国民戦線)を中心とする与党連合(BN=国民戦線)が政権を担当。2003年まで22年間にわたって、マハティール首相の政権が続きました。
この政権のもと政治は安定し、経済も順調に成長してきましたが、民主化という点では大きく遅れを取ることになりました。
下院選で与党が惨敗
マレーシア議会は二院制ですが、上院は任命議員によって構成されているため、事実上は国民から選出される下院が大きな権限を持っています。この下院選で、それまで議席の大半を占めていた与党連合が大敗し、過半数は維持したものの、マハティール首相に解任されたアンワル副首相の人民正義党や民主行動党などが台頭し、野党全体で82議席を獲得しました(全体で222議席)。
背景の1つとして、長期政権による政権腐敗と、これはマレーシア独特の問題なのですが、長年にわたってマレー人を優遇してきたブミプトラ政策に対する反発があります。
かつてマレー人は多数派ながら経済的に困窮していて、中国系住民が幅を利かせていたため、このような政策がとられてきたわけです。しかし、途上国から中進国へと移行している今、マレー人の困窮も影を潜め、むしろマレー人優遇への反発が強まっているのでしょう。
■関連サイト タイ政治の基礎知識2006