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日本版政府系ファンドとは?

アラブ諸国やロシア、シンガポールなどが設立している政府系ファンド。政府が公的資金を運用して利益を出そうというものですが、これに日本も加わろうという動きが出ています。はたしてうまくいくのでしょうか。

執筆者:辻 雅之

政府系ファンドが日本にもできる?

外貨
政府系ファンドによって巨額の利益を得て、社会保障費の負担を軽くすることができるか?
政府系ファンドとは、文字通り政府資金を運用する基金のことです。1950年代から設立され始め、現在では多くの国に広がっています。

原油を売った資金を運用しているのが産油国で、アラブ諸国やロシアが設立しています。一方、貿易黒字で生まれた大量の外貨準備を運用しているのがシンガポールや韓国などです。

特にアラブ系の政府系ファンドは、ここのところの原油高騰で大きな資金を得ており、アメリカはじめ先進国への経済でも大きな存在感を示すようになっています。

一方、欧米ではこうした政府系ファンドは作られていません。市場に政府が介入することはよくないと考えられているからです。今年のサミットでも政府系ファンドに対する規制が大きな論点になるといわれています。

しかし、ここにきて与党を中心に政府系ファンドを作り、社会保障費などを賄おうとする動きが出始めています。自民党内にも検討チームが発足しました。

日本版政府系ファンドはうまくいく?

果たして、日本版政府系ファンドはうまくいき、利益を上げることができるでしょうか。

日本版政府系ファンドでは、アジア諸国のように豊富な外貨準備を財源にすることが予想されています。これらの多くは米ドルであり、日本が米ドルを運用と称してどんどん売ることになると、かえって米ドルの下落の心配があります。

年金積立金をこれで運用するともいわれていますが、もしこれで損が出た場合、国民からの強い批判は避けられません。

そして何にせよ、小さな政府、「官から民へ」を標榜して構造改革を行ってきた日本で、それに逆行する形で巨大な国営基金を作って、また「天下り」「無駄」「無責任」といったかつての構図が繰り返されないとはいえないのでしょうか。

とはいえ、成功すれば財政難の日本にとっては大きなプラスになるわけで、大きな誘惑に駆られながらの議論が進んでいくのかもしれません。

■関連サイト 原油高騰は世界をどう変えるのか?
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