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予算審議が通常国会の1つの山場ですが、「第二の予算」といわれる財政投融資の存在を知っていますか? これは予算とはどのように違うものなのでしょう。かんたんにお話ししていきます。
政府が集めたお金で事業を行う
財政投融資の資金調達 |
そのうち、採算は取れないけれど国民生活のために必要なものは、予算から補助金という形で資金を捻出します。
しかし、採算性があるもの、出資した資金が返ってきそうなものについては、政府に返す義務がある有償資金(借金)という形で資金を出す方法も有効そうです。
つまりこうすることによって、返す義務がある資金を運用する方は採算性を十分意識し、効率的かつ効果的な事業になる可能性が大です。
こうした有償資金を政府が特殊法人などの公的機関などに投資・融資し、公的な事業を行わせることを財政投融資といいます。
かつて、財政投融資は郵便貯金や年金積立金などを旧大蔵省が預託し、特殊法人などに出資・融資などをするかたちで運用されていました。
しかし特殊法人などがただお金を受け取り、漫然と使っていることの原因になっているのではないかという指摘が高まったため、2001年度からは郵貯・年金の預託は廃止され、これらは自主的に運用されることになりました。
代わりに、特殊法人などが「財投機関債」を発行して直接市場から資金を調達したり、政府が「財投債」を発行して財政投融資の資金に充てたりするようになったのです。
ちなみに財政投融資計画は予算と一緒に国会で議決されることが必要です。「第二の予算」とよばれるゆえんです。
どんな事業に使われているのか?
財政投融資の使い道 |
その次に金額が多い事業が「中小企業関連」です。およそ3.1兆円の資金が運用され、そのうち国民生活金融公庫が約2兆円、中小企業金融公庫が1兆円運用しています。
その他にも政府系金融機関があり、およそ2兆円の資金が運用されています。政府開発援助(ODA)の資金運用機関である国際協力銀行がうち1兆円を運用しています。
教育・福祉・医療関連機関にはおよそ8千億円。その他(高速道路の債務返済、住宅事業など)に4兆円となっています。
使途別にみると、最も多いのが道路建設・整備費で全体の22.3%。次いで中小企業対策費で21.2%。生活環境整備が3番目で20.0%となっています。
このように財政投融資は、各地のインフラ整備や、中小企業の振興などに利用されているわけです。
財政投融資の現状
2001年度の改革によって、特殊法人などが郵貯などの資金を漫然と使うことができなくなったため、事業の見直しなどが行われ、より採算性を重視した運用が行われるようになりました。そのため、2007年度計画では、財政投融資の総額はピーク時の3分の1、およそ14兆円にまで圧縮されました。
しかし、さらなる合理化のためには、似たような組織・団体の統廃合・整理が必要だとされています。
すでに2008年10月から、4つの政府系金融機関が統合され日本政策金融公庫となり、かつ株式会社となることが決定しています。
政権はさらに財政投融資を受けている独立行政法人の整理・合理化にも着手しようとしていますが、これについては所管省庁の思惑もあり、なかなか進んでいないのが現状です。
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※参考資料
『平成19年度 図説日本の財政』 林信光/編著 2007 東洋経済新報社