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政党を考えてみよう 新政党のつくりかた(2ページ目)

衆議院総選挙を控え、新しい政党もできていたりします。さて、政党とは法的にどのような団体で、どうやったら作ることができるのでしょう。わかりやすく解説していきます。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【政党として「登記」しなければ、政党助成がうけられない】
2ページ目 【政党として届けなければ、寄付も受けられず支出もできない】
3ページ目 【政党の4つの機能が果たされて、はじめて政党政治は機能する】

【政党として届けなければ、寄付も受けられず支出もできない】

政治資金を集めるために必要なこと

政党交付金だけでは選挙活動は不十分でしょう。ゆえに、寄付、つまり献金ですね。これを集める必要があります。

しかし、「政治資金規正法」では、届出された「政治団体(政党ふくむ)」以外の政治活動に対する寄付、支出を禁止しています。

よって、政党を任意で結成することは禁止されているわけではないのですが、この届出をしないことにはどうにも活動できないのですね。

政党と「政治団体」の区別

「政治資金規正法」では、政党は政治団体の一種となっていますが、先のページでいった「法人格付与法」に基づいた定義によって一般の政治団体とは区別されています。

たとえば、企業や労働組合などが行う「団体献金」は、政党と、政党が1つだけ作ることのできる「政治資金団体」(これも要届出)にしか、行うことができません。一般政治団体は団体献金を受けることができません。

これはどうしてかというと、届出政治団体から政党への寄付は認められているので、他の団体献金を一般政治団体にも認めると、政党がたくさん団体を作り、無制約に団体献金が行われてしまうおそれがあるためです。

よって、多くの選挙資金を集めるには、やはり一般政治団体や、任意団体政党ではなく、法的に定義された法人政党になる必要があるのですね。

政党は各都道府県の選挙管理委員会に届出を

そして、政治資金規正法において政党と認められるには、さらに本拠地の各都道府県の選挙管理委員会に届出をしなくてはなりません。

もっとも、都道府県選挙管理委員会は窓口で、申請先は総務大臣になります。これも面倒くさいですが、「法人格付与法」は主に私法上の法人登記、「政党助成法」は助成金申請のため、「政治資金規正法」はその他政治資金に関する届出なので、こうなってしまっているわけです。

そういう意味で、それらをまとめた「政党基本法」を作るべきではないか、という議論も、あるにはあります。

政治資金の会計責任は重大

さて、政党は(政治団体も同じですが)会計責任者を置かなくてはなりません。会計責任者は、政治資金に付いて、うそ偽りのないように、しっかり会計をし、収支を報告しなければなりません。

もし、「政治資金規正法」の条文に違反した会計行為・収支報告は、重大な犯罪になります。禁固刑などが待っています。

さて、選挙に立候補する人は、「政治資金管理団体」を1つだけ、つくることができます。これも当然届出が必要で、収支の報告も厳密に行わなければなりません。しかし、こうすることによって、さらに多くの政治資金を集めることができます。

とはいえ、それでも、調達することのできる政治資金には、おのずと限界があります。次のページで見ていきましょう。

◎現行制度での政治献金の上限と規制


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