一人っ子政策が生んだ問題(1)-男女比の偏り
子供が1人しかいないと、両親の期待もそれだけ大きくなる。 |
中国はまだ男尊女卑思想が根強く残っているため、後継ぎには男の子をと考える両親がかなり多く存在しています。そのために、1人しか子供が持てないなら、その1人を男の子として持ちたがる家庭がたくさんあります。
結果として、自然な状態なら生まれた状態では男女比率が「男105:女100」程度であるのに、中国では「男117:女100」という偏った男女比になっています。また広東省や広西チワン族自治区では、「男130:女100」という極端な男女比になっています。
このために、多くの男性が結婚適齢期になっても結婚相手の女性を見つけられない事態が起こっています。一人っ子政策が始まった後で生まれた世代の3分の2は、まだ20歳以下で結婚適齢期には達していません。しかし、今後この世代が結婚適齢期に到達すると、「男余り」問題はますます深刻になっていくでしょう。
一人っ子政策が生んだ問題(2)-介護と過保護
子供の数が1人であるために起こってくる諸問題も存在します。例えば介護です。1人っ子同士が結婚して夫婦になると、夫婦2人だけで両方の両親4人の介護をしなければなりません。夫は働いているケースが多いでしょうから、実質的には妻1人で4人の両親を介護することになります。これは大変な負担です。1人っ子には両親2人がいて、その両親にはそれぞれ両親(子供から見た祖父母)4人がいます。そのため、2人の両親と4人の祖父母はたった1人の孫を大変可愛がります。それによって子供が過保護に扱われ、甘やかされるという現象も中国各地で報告されています。このように、2人の両親と4人の祖父母の下で過保護に育てられた子供を「小皇帝」などと呼んだりしています。
1人っ子として甘やかされているために、対人スキルが育たず、近年増えてきている1人っ子同士の結婚では、離婚率が増加しているという報告もあります。
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