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均等法は女性の仕事を増やした?

男女雇用機会均等法(以下、均等法)の制定から20年、私たちを取り巻く環境はどう変わったのでしょうか。調査を元に分析します。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
仕事の上で男女差別を感じたことのある人

男女雇用機会均等法(以下、均等法)の制定から20年、私たちを取り巻く環境はどう変わったのでしょうか。残念なことに、「均等法などないほうがよかった」という声も。

「読売ウイークリー」と「gooリサーチ」が共同で行なった「働く女性に対するアンケート」(2005年9月下旬、20代以上の働く女性約1万人対象、未婚:既婚=5:5) では、働く女性の雇用環境の変化について意識調査を行なっていますので、ご紹介しましょう。


結局、女性の仕事が増えた?!

均等法とは、企業が社員を募集するにあたり男女ともに差別をしてはいけない、という法律です。男女どちらかのみの募集や、どちらかを歓迎・優遇することは禁じられ、ナースさんを「看護師」と呼ぶようになったのもこの法律のおかげです。また、総合職の募集は、結婚・出産・育児を理由に女性を排除してはいけません。

それまでは、一般的に男女の賃金格差があり、男性の補助業務が女性の仕事、ということも、堂々と職場で行われ、男女差別がありました。では、均等法以降、大きく変わったのかといえば、先のアンケートの結果では、均等法の施行で「何も変わらない」が62.7%。「働きにくくなった」の3.0%。を加えると、全体の3分の2の人が状況は改善されていないと考えていることになります。

その理由のひとつは、均等法を理由に男性と平等に仕事を与えられるようになりましたが、その一方で、お茶くみ、コピーとりなどの女性の仕事はそのままの名残りで、結局トータルでは女性の仕事量が増えてしまったということがあげられます。また家庭でも、家事、子育てなど女性の仕事の負担も相変わらず。結果、悲鳴をあげている女性の声が目立ちました。他には「昇進昇格は相変わらず男性のみ」「総合職採用だったが数年後に一般職に転換させられた。客寄せパンダだった」という声も。

では、均等法で「働きやすくなった」と感じている人の理由はどんなものだったかというと、「セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)の減少」「採用門戸の女性への開放」「男性と同様の仕事ができた」「昇進昇格があった」「育児休業が取得できた」などの声があっていましたが、「働きやすくなった」と答えた人は、わずか12.8%でしかありませんでした。

もうひとつの問題、子育てと仕事については次ページ
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