意外や意外のギリシャの国民感情。ギリシャは表面上おとなしくアメリカにつきあっていますが、実はけっこうな反米国家。アメリカのおかげで共産化を免れたっていうのに、いったいどういうことなんでしょう。

1ページ目 【テロなき五輪成功のためにはアメリカの力は欠かせないが・・・】
2ページ目 【独裁軍事政権をアメリカが支えたことで火がついたギリシャ国民の反米感情】
3ページ目 【同じ宗教、歴史を共有するセルビアへのアメリカによる攻撃にむかついたギリシャ人】

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気になる地域(北朝鮮・イラク)

【テロなき五輪成功のためにはアメリカの力は欠かせないが・・・】

五輪テロ警戒にNATO軍参加

アテネ五輪、いよいよ近づいてきました。それとともに、テロ警備もますます進んできました。

「9・11」以来初めて開かれる夏季五輪。しかもちょっと東にいけば、イラクはたいへんなことになっています。イスラム過激派も襲来しやすい地理環境。とうぜん、ムードはピリピリでは言い表せないくらい張り詰めているようです。

そこで登場したのがNATO軍。NATOとは、北大西洋条約機構のことで、冷戦時代、アメリカが中心になって西ヨーロッパやギリシャ、トルコといっしょにつくった軍事同盟です。

冷戦後も、ポーランド、チェコ、ハンガリーが1999年加盟。今年3月には、さらにスロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ブルガリアが加盟し、全ヨーロッパ的な軍事機構になりつつあります。

冷戦後のNATOは、こうした拡大策や、非加盟の東欧諸国との連携を強めヨーロッパ平和を推進する一方、ユーゴ紛争への介入、最近ではイラク安定化支援など、むしろ冷戦時代よりも活発な(ある意味露骨な)活動を展開するようになってきました。

そして、アテネ五輪のテロ対策にもNATO軍が参加。ギリシャ政府の要請によるものです。NATOが空中警戒や領海境界線の監視を担い、航空機でテロ、みたいなものを未然に防ごうというわけです。

ギリシャは1300億円、7万人の警備要員を用意していますが、それでも防空対策などはNATOに任せるしかない。それだけ、今回の五輪のテロ警備、ギリシャも不安だらけ。

しかし五輪開催国として、テロにまみれるような失敗はできない。高い軍事技術力を誇るアメリカ軍を中心としたNATOに応援を頼まざるをえないわけです。

NATO軍を見守る複雑なギリシャ国民感情

とはいえ、アメリカを盟主とするNATO軍のテロ警備参加に、NATO参加国でありながら、ギリシャ国民、けっこう思いは複雑です。

スタジアムの建設すらままならない現状で、テロ対策にはアメリカなどNATOの力を借りるしかない。しかし、アメリカには・・・・

そうなんです。ギリシャ国民って、アメリカ嫌い、反米感情の強いところがあるのです。同盟国なはずなのに、国民はアメリカのことを快く思っていない。

ギリシャ政府も、できれば自前でテロ警備をしたかったでしょう。しかし、公安大臣は「プレッシャーに夜も寝られない」(『読売新聞』より)ほど。余裕のないギリシャには、テロ対策には一日の長があるアメリカに支援をあおがざるを得なかったわけです。

でも本当は、アメリカに頼らないで五輪を成功させたかった、というのが、ギリシャ政府、国民、ほとんどの思いではないでしょうか。

そんな反米感情を配慮して、もちろんアメリカも表面にはでてきません。だから、アメリカの直接支援ではなく、NATOによる支援、ということになったのです。

アメリカの支援で発展遂げたのに、ギリシャはなぜ反米感情が高い?

このあいだの記事「アテネ五輪開催と歴史背景」 でも述べたとおリ、アメリカの支援のおかげで、共産化を防ぎ、経済成長を遂げ、東欧唯一の五輪開催国となれたはずのギリシャ。

そんなギリシャは、なんでアメリカ嫌いなんでしょうか。次のページで解説していきましょう。



(写真提供:esupply)