W杯の経済波及効果は4,000億円強
サッカー観戦とゴールデンウィークの旅行者は、同じぐらいのお金を使う? |
【第一生命経済研究所】
直接支出の増加=2,588億円
波及効果を含めて=4,171億円
【住友生命総合研究所】
直接支出の増加=2,537億円
波及効果を含めて=4,550億円
意外とアバウトな「経済効果」
経済効果がこのように発表元によって予測数値が違うのは、観戦渡航者の人数や、その人たちが使うお金の見積もりの前提条件が違うから、ということによる影響がほとんどです。それは、W杯にどのくらいの人が関心を持って観戦するか、またドイツまで足を運ぶか、という仮定や、設定する前提条件の違いです。それぞれの発表元が定めた前提条件どおりに人々が関心を寄せ、ドイツに渡航した場合に、「どれだけお金が動くか」という予測を立てたものが「経済効果」だからです。さらに、その数字がそのままGDPなどの経済規模に上乗せされるわけではないことに注意が必要です。どちらかといえば、GDPの内訳を示したものという感じでしょうか。そのため、W杯が開催されるために使われないだろう支出も背中側にはあるはずなのですが、そのマイナス点は考慮していません。例えば、「今年はプラズマテレビを買ったので、車の買い替えは次の車検時にすることにして、今年は購入をあきらめた」ということをW杯のマイナス影響として引き算するものではないのです。
また、経済効果の算出に際して、どこまで関連の枠を広げて計算に含めるかは、発表する研究所ごとに違います。実際は、W杯が直接のきっかけにならなかったとしても、経済効果として含めてしまうことはよくあることです。たとえば、ある子どもがスポーツを始めようとしていたとします。サッカーでも野球でもよかったのですが、サッカークラブが家の近所にあったため、サッカーを始め、ウェアやシューズを買うことになりました。それが2006年だったとしたら、W杯の経済波及効果に含めて計算されてしまうでしょう。たまたまテレビの買い替え需要が来た家庭で2006年にプラズマテレビを買ったとしても、経済効果に含めて計算されます。経済効果とは、そんな「意外とアバウトな」ものなのです。
【関連サイト】
怖いのは、ベルギー、ロシアよりも、財政負担!? W杯で日本は儲かるか?(2002年W杯)
サッカードイツW杯の経済効果(第一生命経済研究所)
2006W杯ドイツ大会公式サイト