文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
経済効果というと、それだけ新しい経済の産物(=利益、現金など)が生まれることを想像しがちですが、実は、そうではないのです。2006年は、W杯ドイツ大会の開催年!ということで、ここでは、この一大イベントを例に「経済効果」について、簡単に解説していきましょう。<INDEX>
「経済効果」は条件付き?(1P目)
W杯サッカーの経済波及効果は4,000億円強(2P目)
意外とアバウトな「経済効果」(2P目)
「経済効果」は条件付き?
W杯にこじつけた、お金の動きが「経済効果」だ! |
また、「経済波及効果」と言った場合には、その出来事にちょっとでも影響を受けるだろうと思われたら、カウントされます。本当に影響があるかどうかまでは問いません。なので、経済波及効果のデータは、当てにならないなどよく言われてしまうのです。
さて、2006年は「W杯ドイツ大会」が開催される年。オリンピックと並んで世界の2大スポーツイベントと称されるW杯サッカーに日本代表が出場するとなると、観戦関連の支出が増えてお金が動くことになります。このお金の動く金額が「経済効果」であり、GDPを押し上げる効果として政府や民間シンクタンクなどから発表されます。
例えば、2005年9月に、第一生命経済研究所が予測した「サッカードイツW杯の経済効果」が発表されていますが、これは、アテネオリンピックと同じ程度の効果が出ることや、2005年のゴールデンウィークに海外旅行をした人たちが海外で使ったお金と同じぐらいの支出をする、ということを前提条件の元に算出しています。このレポートでは、W杯出場に伴う実質GDP増加額を約2,537億円としていますが、そもそもアテネオリンピックと同じくらいの人々の関心がなければ、さらに、昨年のゴールデンウィークの旅行者と同程度の支出をしなければ、この経済効果の予測は崩れるということになります。
このように、「経済効果」や「経済波及効果」を算出する際には、通常、「~のような環境の下で」とか「前回の~と同様の効果があったとして」という前提条件を念頭において、経済効果の押し上げ金額を読む必要があります。
いよいよ、次のページでは、W杯ドイツ大会の経済効果を紹介!