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自衛隊と平和主義基礎知識(2ページ目)

日本国憲法で戦力の不保持が決められているものの、実際には日本は自衛隊というものを持っています。今回は、自衛隊についてお話していきたいと思います。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【日本国憲法とその解釈の変化、そして自衛隊の設置】
2ページ目 【自衛隊を貫く重要原則、文民統制~シビリアン-コントロール】
3ページ目 【日本防衛の重要原則、その基盤はもろく弱い】

【自衛隊を貫く重要原則、文民統制~シビリアン-コントロール】

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文民統制~シビリアン-コントロールの原則


とはいえ、戦前の日本軍と、今の自衛隊には、決定的な違いがあります。それが、文民統制~シビリアン-コントロールの有無です。

文民統制~シビリアン-コントロールとは、軍隊(自衛隊)に属さない市民の代表、つまり政治家サイドが軍隊(自衛隊)を指揮統制する、という原則です。これは、民主国家の軍隊にとってきわめて重要な原則です。

自衛隊法 第7条
内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。


内閣総理大臣は、国民の代表である国会に指名された人物であり、自衛隊の外部の人間です。自衛隊は、文民統制の原則のもとにある「軍隊」ということができるわけです。

戦前の日本


ところが、戦前の日本軍には、文民統制~シビリアン-コントロールの原則は、みじんもありませんでした。

なぜなら、戦前の憲法では、天皇の絶対的権力のもと、軍隊は内閣や議会と同列の位置に置かれ、天皇が指揮をする(という建て前の)軍隊に対し、内閣が指示をすることはできなかったわけです。

このような論理を、「統帥(とうすい)権の独立」、といいます。統帥権とは軍隊を指揮命令する権利で、これは首相にではなく天皇に直接与えられていた。だからこの論理は、軍隊は内閣に関係なく独立して行動することができるという論理になります。

実際、太平洋戦争のきっかけとなった満州事変は、軍隊の一部が勝手に満州(現在の中国東北部)を占領し、それを内閣は止めることができなかったのです。こうして軍隊は次第に暴走していき、日本は戦争に突入してしまったのです。

文民統制~シビリアンコントロールの原則を監視していくことが必要


戦前の反省の上に立って日本でも確立された文民統制~シビリアン-コントロールの原則ですが、しかし、いくらそれが法に規定されているとはいえ、内閣総理大臣や防衛庁長官たちが自衛隊のいうことをそのまま丸のみして指揮をしてしまえば、文民統制~シビリアンコントロールの原則は崩壊も同然です。

現在、自衛隊は国民からいちおうの信頼は得ているようですが、しかし、国民は、たえず文民統制~シビリアン-コントロールの原則がしっかり守られているかどうか、監視していく必要があります。

1970年代後半、自衛隊の幹部が「なにか有事が起こった際、自衛隊は超法規的措置をとらざるを得ない」と発言したことがあり、波紋を呼びました。

当時は有事、つまり戦争をしかけられた際の法律が未整備だったこともあっての発言だったわけですが、そうはいっても、そういう市民の代表である国会や内閣を無視するような発言は、文民統制の原則からいって、寛容できるものではありません(ちなみにこの幹部はこの発言のため更迭されました)。

現在は有事の際の法整備もすすみ、自衛隊が法を無視する行動をとることじたい想定できないようにはなっていますが、それでも国民は監視の目を緩めてはならないと思います。


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