1ページ目 【日本国憲法とその解釈の変化、そして自衛隊の設置】
2ページ目 【自衛隊を貫く重要原則、文民統制~シビリアン-コントロール】
3ページ目 【日本防衛の重要原則、その基盤はもろく弱い】
【日本国憲法とその解釈の変化、そして自衛隊の設置】
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日本国憲法第9条とその解釈
有名な条文ですが、あえてまた掲載しましょう。
日本国憲法 第9条
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
徹底的な平和主義を、第9条では規定しているわけです。武力の行使の放棄、戦力を持たないこと(不保持)、交戦権を認めない(否認)ことになっているわけですね。
しかし、戦後この条文についての解釈は様変わりしていきます。○武力の行使に自衛権の行使はあたらない、○戦力に自衛力は含まない、○自衛のための戦いは交戦権の否認にあたらない、と。これが現在の政府の正式見解です。
なんでそんな解釈が成り立つのか、それはこちらの記事「国防・軍事の基礎用語集」を見ていただくことにして、とにもかくにも、いわゆる「解釈改憲」=憲法解釈の変更によるなし崩し的な憲法運用の変更、により、日本は事実上軍事力を持つようになったのです。
自衛隊創設の歴史
なぜ日本政府は解釈改憲という手段にまで出て事実上の軍事力を持つようになったのでしょう。
第2次世界大戦終結直後は、戦争を起こした日本を軍事的に無力にして、二度と戦争を起こさせないようにしようというのが、アメリカを中心とする連合軍の方針でした。
ところが、アメリカとソビエトの厳しい対立、いわゆる冷戦構造がうまれます。そんななか、日本占領の主導権を握っていたアメリカは、しだいに日本をソ連など共産主義国の手に堕ちないよう、それなりの軍事力を日本に持たせることが必要であると考えるようになりました。
1950年、朝鮮戦争が勃発し、アメリカ軍の多くが朝鮮半島にでかけていくと、治安維持の穴埋めをすると言う名目で、従来の警察力の装備を超えた装備を持つ、警察予備隊が設置されました。
これが、連合軍による日本占領終結を期に、1952年に保安隊に改組され、人員も増やされます。
そしてアメリカによる日本の自衛力強化の要望もあって、保安隊は1954年に自衛隊と改められて装備も一段と強化され、現在にいたっているわけです。