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【今のアメリカにとって「新しい保守」って?】
「アメリカの伝統」と「圧倒的軍事力」が結びついた「第2次大戦の記憶」
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アメリカの保守主義といっても、もはやそれが「白人・アングロサクソン至上主義」でないことはたしかです。
なぜって、まず閣僚の中で一番の格上、パウエル国務長官や、ブッシュ大統領が絶対的な信頼を置くといわれるライス補佐官らは、ともに黒人です。ライス補佐官にいたっては女性。「白人男性が偉い!」という意味での保守主義は、もはや通用しないようです。
しかし、アメリカの保守主義は、建国の原点に帰っていくのでしょう。アメリカは「自由な国」として誕生しました。この「自由な国」を守り、かつ、これを脅かす国から自分たちを守る。
そしてそのためには、圧倒的軍事力を使うことをいとわない。これが、アメリカの今の「保守」なのではないでしょうか。
そして第二次世界大戦に参戦し、ドイツや日本を「解放」した記憶。これを今一度、この渾沌とした世界の中でアメリカの果たす役割として重視すべき。これがネオコンたちの主張なのでしょう。
かれらの主張を実行に移すには、あまりにも圧倒的な軍事力をアメリカは持ってしまいました。軍事における革命(RMA)が進行し、ハイテク化をすすめるアメリカ軍。イラクでの勝利は見えていました。この軍事力を、次は他の中東諸国の民主化、あるいは「北」に対して行使して、「解放」をすすめていくのでしょうか?
とはいえ、各地で頻発する民族抑圧などを、アメリカが一手に引き受けられるか(→解放できるか)、というと、それはどうかという疑問もあります。
それに民族問題や地域紛争の多くは、イラク戦争みたいに「独裁者フセイン対解放者アメリカ)のように白黒はっきりしていないことが多いのが現状。それに対して、アメリカが単純に武力を行使して平和を・・・というわけにもいかないでしょう。
そして何より、次の目標が「北」だとしたら、やっかいです。北朝鮮は核兵器の保有宣言をしてしまいました。圧倒的な軍事力を持つアメリカとしても、犠牲を最小限にして圧倒的勝利をおさめることはむずかしいでしょう(勝利は確実としても、「圧倒的」でなくては世論がおさまらない)。
とにかく、まだ「ネオコン」たちの狙いは今ひとつはっきりしていないところもあります。今後のイラク復興や、中東へのアメリカ政策をみながら、ネオコンたちの動向に注目していきたいと思います。