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早わかり消費(3) 「ライフサイクル仮説」とは?

第3回はケインズの消費理論の問題点を克服した、「ライフサイクル仮説」についてわかりやすくご説明します。

執筆者:石川 秀樹


★ ポイント★

<1>ライフサイクル仮説は、「現在保有する資産+将来得られる所得=一生涯での消費量」となるように毎年の消費量が決まると考える。

<2>この理論であれば、老後のために現在の消費を減らし貯蓄する行動を説明できる。

<3>この理論であれば、バブル崩壊で資産価格が下落すれば消費が落ち込むことも説明できる。

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第3回目は、ケインズの消費理論の問題点を克服した理論であるライフサイクル仮説をご紹介します。ライフサイクルとは、「誕生、就学、就職、退職、死亡」など人生の一連の局面をいいます。ライフサイクル仮説とは、「人々は一生涯での消費額を一生涯で使えるお金と等しくなるように毎年の消費量を決める」というものです。

この考えは、私達が退職後には所得がなくなるので、それに備えて若いうちから消費を抑えて貯蓄をするという行動を説明できます。

ところで、「一生涯で使えるお金」とは、現在持っている資産と今後退職まで得られる所得です。したがって、「現在保有する資産+将来得られる所得=一生涯での消費量」ということになります。

ですから、バブル期のように資産価格が上昇すれば、現在保有する資産+将来得られる所得である一生涯で「使える」お金が増える結果、一生涯での「消費」が増加し、1年間での「消費」も増加することになります。

また、逆に、バブルが崩壊し資産価格が下落すれば、現在保有する資産+将来得られる所得である一生涯で「使える」お金が減る結果、一生涯での「消費」が減少し、1年間での「消費」も減少することになります。

このようにライフサイクル仮説は資産を考えていますので、バブル期の消費拡大と、バブル崩壊後の消費落ち込みをうまく説明できます。

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★キーワード★
ライフサイクル仮説
「人々は一生涯での消費額を一生涯で使えるお金と等しくなるように毎年の消費量を決める」という消費理論。具体的には,「現在保有する資産+将来得られる所得=一生涯での消費量」となるように毎年の消費量が決まると考える。この理論であれば,老後のために現在の消費を減らし貯蓄する行動やバブル崩壊で資産価格が下落すれば消費が落ち込むことも説明できる。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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