★ポイント★
1. 景気回復のための金融政策は「流動性の罠(最低限の金利のケース)」と「投資が利子非弾力的(金利が下がっても投資が増えないケース)」の2つのケースでは、無効となる。
2. 金融政策が無効になる「流動性の罠」と「投資が利子非弾力的」は深刻な不況時に陥りやすい。
3.現在の日本は深刻な不況であり、「流動性の罠」と「投資が利子非弾力的」の両方に陥っている可能性が高い。だから、金利を低くしても景気は回復しない。



日銀の金融政策によって常に景気を回復できるわけではありません。日銀の金融政策の効果がないこともあるのです。それが、これから述べる「流動性の罠」と「投資が利子非弾力的」の2つのケースです。

「流動性の罠」とは、すでに最低限の金利になっている状態です。金利が最低なのですから、これ以上金利を下げることは出来ませんので、金融政策で景気を回復させることは出来ません。この流動性の罠は不況時に起こりがちです。なぜならば、不況時には取引が少ないので、取引のための貨幣需要が減少し、価格である金利は低下していくからです。現在の日本がまさにこの状況といえるでしょう。

また、「投資が利子非弾力的」とは、金利(=利子率)が下落しても投資が増えないケースです。これは、深刻な不況期には、企業は自信をなくしていますから、金利(=利子率)にかかわらず、修理などの必要最低限の投資しか行わないことがあります。このときに、金融政策で、たとえ流動性の罠ではなく、金利を下げることが出来ても、企業は必要最低限の投資しかしませんから、投資は増えませんから景気はよくなりません。

以上より、深刻な不況期には「流動性の罠」と「投資が利子非弾力的」なケースに陥りやすく、そのときには金融政策は効果がない(=無効である)ことになります。ですから、金融政策は深刻な不況対策としては頼りにならないことが多いといわれています。

まさしく、現在の日本経済は、「流動性の罠=最低限の利子率」であり、「投資が利子非弾力的=利子率が下がったとしても投資は増えない」ので、金融政策は投資増加につながらず、景気は回復しません。ですから、ゼロ金利政策を採用し、ここまで金利を下げても不況のままなのです。

★ キーワード★

流動性の罠
すでに最低限の金利になっている状態です。金利が最低なのですから、これ以上金利を下げることは出来ませんので、金融政策で景気を回復させることは出来ません。この流動性の罠は不況時に起こりがちです。なぜならば、不況時には取引が少ないので、取引のための貨幣需要が減少し、貨幣のレンタル価格である金利は低下していくからです。

投資が利子非弾力的
金利(=利子率)が下落しても投資が増えないケースです。これは、深刻な不況期には、企業は自信をなくしていますから、金利(=利子率)にかかわらず、修理などの必要最低限の投資しか行わないことがあります。このときに、金融政策で、たとえ流動性の罠ではなく、金利を下げることが出来ても、企業は必要最低限の投資しかしませんから、投資は増えません。
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