【アメリカ大統領、こんなに無力?】

世界最強にみえるアメリカ大統領ですが、こと国内政治においては、こんなに無力なの? と思われるような場面がたくさんあります。

アメリカは厳格な三権分立になっているので、法律案はすべて議会のもとで審議され法律化されます。大統領が反対するような法律も遠慮なくバンバン成立したりします。

前ページでいった大統領の法案拒否権で、そんな法律の成立をある程度は阻止することができますが、議会には対抗手段として再可決権がみとめられていて(3分の2以上の賛成で上下両院が可決すれば拒否権をくつがえすことができる)、大統領のリーダーシップが弱いと再可決がどんどん行われていったりもします。

また、大統領は条約を結んだり、各省の長官を任命する時に議会の上院の同意をえなくてはなりません。これが難航することもしばしばあります。

なんでこんなことになるのでしょう。それはアメリカの独特な政党のしくみにあるといえます。

アメリカの政党といえば共和党と民主党ですが、2つとも「アメリカ総本部」みたいなものを持っていません。全国大会は4年に1度、大統領候補をきめるときしか開催されません。

ですから共和党や民主党の「党首」などというものも存在しません。各党所属の議員は日本のように党幹部から締め付けをくらうこともなく、自分の思うまま(というか、自分の地元地域や支持団体の意向を受けながら)行動するのが普通なのです。

ですからたとえばブッシュが共和党の大統領だからといって、ブッシュのすすめる政策に対して、共和党議員がすべて賛成するとは限らないわけです。

しかもここ十数年間、大統領の出身党と議会の多数党が違っている場合が多く、このことが大統領と議会の対立をますます深めているといえます。

こんな状況から、大統領はその強大な権限とは裏腹に、その力を発揮できないことも多いわけです。

そしてこのことが、けっこうひんぱんに見られる大統領の「ひとり語りのテレビ会見」につながってくるわけです。大統領の意外な「権力の作り方」について、次のページで見ていきましょう。