文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
【比例代表制のしくみ】.
「比例代表制」とは、個人ではなく政党が集めた得票をカウントすることによって、
政党の得票率≒政党の獲得議席率
とする制度です。
つまりある党が全体の30%の票を獲得したとすると、その党は議席の30%、仮に100議席あるとすると30議席を獲得することになるわけです。
ただ、政党の得票率をそのまま議席の獲得率にはしません。ふつうは選挙で争われる議席数はそれほど多くなく(今回の参院選では50議席)、対して得票率はきっちりした数字にはならないので(32.251....%みたいな)、得票率をそのまま議席獲得率に置き換えるには無理があります。
そこで、日本などでは「ドント式」という方法で、政党の獲得議席数を計算しています。
まず、定員が7人の比例代表選挙で、仮にA党100万票、B党80万票、C党40万票獲得したとしましょう。
この票を、順に1、2、3、4・・・・と整数で小さな数から割っていきます。
A党 B党 C党
÷1 100 80 40
÷2 50 40 20
÷3 33.3 26.7 13.3
÷4 25 20 10
÷5 20 16 8
上の数字に、大きな順に7つまで順位をふっていくと、こうなりますね。
A党 B党 C党
÷1 100(1) 80(2) 40(4)
÷2 50(3) 40(4) 20
÷3 33.3(6)26.7(7)16.7
÷4 25 20 12.5
÷5 20 16 10
この、順位をふられた数字の数が、政党の獲得議席数になります。つまり、
A党3議席 B党3議席 C党1議席
となるわけです。
もっとも、この方法だと得票の多い政党、つまり大政党に有利になるといわれています。実際、上の例の場合、各党の得票率と議席獲得率は
得票率 議席率
A党 45.5% 42.8
B党 36.6 42.8
C党 18.2 14.3
となります。得票の多いB党は実際の得票率よりも多い議席率を獲得しているのに対して、得票の少ないC党は実際の得票率よりも少ない議席率となっています。
これに対して、少数政党に比較的有利な結果になるように工夫された計算方式が「ラグ方式」です。ここでは最初に1.4で割った後、次は3、5、7・・・と奇数で割っていくという方法です(北欧諸国などで採用)。
さて、今回の参院選からは、この比例代表制が「拘束名簿式」から「非拘束名簿式」に変わります。「拘束されない名簿式」っていったいなんでしょうか。次のページで解説します。