(2003.10.22)
1ページ目 【マニフェストって何?】
2ページ目 【マニフェストで政治も変わる?】
【マニフェストって何?】
イギリスでは「候補者」よりも「マニフェスト」
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Q:「マニフェスト」という言葉をよく聞きます。特に今回の衆議院総選挙は「マニフェスト選挙」とよばれているそうですね。マニフェストって何ですか。
A:マニフェストとは、政党の統一した選挙公約のことです。ただ漠然としたものではなく、具体的な目標を、数値などを示してはっきりさせたものです。
今年4月の統一地方選挙で知事に当選した人たちがこのマニフェストを公表していたことから注目を浴びるようになりました。今回の選挙では、各政党がマニフェストを全面に掲げて戦うことになりそうです。
Q:マニフェストって言葉がいかにも輸入品、って感じですよね(笑)。これはアメリカからもってきたものですか?
A:いいえ、イギリスです。イギリスではマニフェストの歴史は古く、起源は1834年にまでさかのぼります。当時のピール首相(保守党)がタームワースという選挙区で発表したタームワース・マニフェストというものが、翌年の総選挙で保守党の公約として採用されたのが、その始まりといいます。
特に1980年代になって、イギリスではマニフェストの重要性が増してきているようです。選挙戦はだれが当選するか、ではなく、もっぱら党のマニフェストについての議論についやされます。
日本ではマニフェスト慎重論として、「党と候補者個人の公約が違ったらどうする」ということがいわれましたが、イギリスでは政党本部の力が強いので、党のマニフェストは絶対です。逆にいうと、マニフェストさえしっかりしていれば、だれが立候補しても当選できる。イギリスでは「豚が立候補しても当選できる」という冗談めいた比喩で語られるようですね。
Q:豚でも、ですか? イギリスではそれくらい、候補者個人の力量よりも、政党のマニフェストのほうが重視されるということですか?
A:その通りです。イギリスでは選挙戦の時候補者個人の顔を印刷したポスターも、なかなか見ることはないようですね。
Q:イギリスではどのようにマニフェストが作られているのですか?
A:労働党ではマニフェスト審議機関があり、公開されて作成されています。保守党では非公開になっており、昔サッチャー首相が独断で盛り込んだ内容があるなど、かなり党幹部の力が強いものになっているようですね。