コンクリート住宅/コンクリート住宅の基礎知識

家の寿命に影響するコンクリート強度とは?(2ページ目)

マンションの耐震強度偽装問題で話題の「コンクリート強度」。住宅の基礎にコンクリートが使われている以上、戸建てにも無関係とはいえません。コンクリートの呼び強度、設計基準強度、圧縮強度について考えます。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

住宅基礎のコンクリート強度

一般的な住宅の基礎に使用するコンクリートに必要な強度はどのくらいなのでしょうか?

住宅金融公庫の「木造住宅工事共通仕様書」よると、
コンクリートの打ち込みから28日後までの期間の平均気温が
10度以上の場合   「呼び強度」は24N/mm2
2~10度未満の場合  「呼び強度は」27N/mm2 とされているようです。

もちろん、住宅の基礎に必要な強度は、コンクリートだけが受け持っているわけではありません。基礎のコンクリートの中にある鉄筋の太さや配筋の間隔、鉄筋の表面から鉄筋を覆っているコンクリート表面までの最短寸法を表す「かぶり厚さ」、鉄筋の定着や継ぎ手の長さなど、さまざまな要素が絡み合ってきます。また、「布基礎」や「ベタ基礎」などの基礎の形状や、基礎自体の幅によっても基礎の強度は異なってくるでしょう。

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一番下で家を支える基礎はとても重要。もちろん、基礎に欠かせないコンクリートの強度が適切かどうかは、住宅の寿命に関係あります

それらを考慮したうえで、単に基礎のコンクリート強度の目安を設定するとしたら、「呼び強度」で24N/mm2くらいが適切になるようです。

個々の住宅で求められる強度は異なる

しかし、この「呼び強度で24N/mm2」という数値は、あくまでも目安の数値のようです。

なぜなら、基礎だけを考えても、前述した通り、強度を決定づける要素はいくつもあるからです。そのうえ、そもそも基礎は、工法や住宅の規模、地盤によっても違ってきます。

木造軸組工法なのか、コンクリートなのかによっても住宅の重量が全然違いますから、基礎も違ってきます。さらに、二階建てなのか、三階建てなのかによっても変わってくるでしょう。そして何より大きな要素は、その土地の地耐力(地盤の強さのこと)です。地耐力によって、基礎の形状(布基礎かベタ基礎など)やサイズ(幅など)が変わります。そのために、住宅を建てる前には、地盤調査を必ず行い、地耐力に合った基礎を採用しなければならないのです。

ちなみに、
「呼び強度」24N/mm2の場合
大規模補修不要予定期間は65年、供用限界期間は100年

「呼び強度」18N/mm2の場合
大規模補修不要予定期間は30年、供用限界期間は65年
といわれています。これを見ると、住宅メーカーから「呼び強度で24N/mm2」よりも低い数値を提案されたからといって、一概に強度が不足しているとはいえないようです。

大切なのは、個々の住宅に必要なコンクリート強度を保っているかということです。

「心配ならばできる限り強くしておけばよい」と考える選択もありますが、高強度にするためには余分にコストがかかることがあります。また、先ほど説明した地耐力に配慮せず、基礎だけを強くしてもあまり意味がありません。不同沈下したり、家全体が沈んだりということが考えられるからです。そして、必要以上のスペックのために、限られた建設予算を割くのは得策ではありません。希望する部分に予算を回しましたほうが、後々の満足感が違うと思うのです。

住宅メーカに質問しよう

ここまでの説明を読んでいただいて、専門知識のない一般の方が「コンクリート強度」の数値だけで、基礎の強度を判断することは難しいことだということが、おわかりいただけたと思います。では、自宅を建設する際、専門知識のない一般人は、どのようにして基礎の「わが家のコンクリート強度」について「納得」できるのでしょうか?

これは、施工を担当する住宅メーカーや工務店など、施工業者に聞くしか方法はありません。こういったことを単に数値の大小だけでなく、わかりやすく丁寧に教えてくれる住宅メーカーなら、信用できることでしょう。

ただ、施工業者の言うことを鵜呑みにせず、ちゃんと理解するためにも、ここで説明したように、コンクリートには強度を示す基準があり、どんな段階で計るかによっても、住宅の工法や規模によっても、基礎は変わってくる、ということだけはベースの知識として覚えておくとよいでしょう。
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