貯金ゼロでパリにアパートを買う
寝室の床のフローリングは自分で張ったそうです |
人気上昇中? パリの11区
Tさんのアパートがあるのはパリの11区。有名店が数多く集まり、ファッションなどの中心地として有名なマレの北にあります。11区は広いので地域によっても雰囲気が違うようですが、アラブ人、アフリカ人、中国人などいろいろな国の人たちが集まっているのだとか。マレの人気高騰によって、クリエイターやデザイナー、ショップがマレよりも家賃の安い11区に移動し、だんだんとおしゃれなエリアに変わってきているそうです。そんな11区に、Tさんは南向きのアパートをみつけました。はっきりした築年月は不明なものの、建物の建築は1930年ごろだとか。築70年超ですが、パリでは決して古いほうではないようです。部屋の広さは約22m2。以前の住まいに比べれば広く、何より日当たりがいいのが気に入って購入しました。
6階建て(仏式では5階建て)の4階(仏式では3階)にあるTんのアパート |
写真でわかるように、確かに古い建物ではありますが、手擦れた感じが味わいとなり、天井が高く、窓の大きな部屋は明るく開放感があります。窓の手すりの植物のような曲線の飾りがアール・ヌーボー風で、年代を感じさせます。
念願のアパートを手に入れたТさんは、部屋の床をペンキで黒く塗ったり、キッチンのキャビネットもDIYで造作し、ニスを塗ったり、シンクを取り付けたりしました。さらに電気工事も自分で行い、換気扇も設置したといいますから、住まいに対するTさんのこだわりが伺えます。いろいろ手を入れて自分の好みの空間に変えていきましたが、自ら工事をしたのはやむを得ない事情がありました。また、実際に買うまでの道のりも、平坦なものではなかったようです。
次のページでは、Tさんの前に立ちはだかったいくつもの問題について話しましょう。