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「ホラふき大会」「駕篭かき競走」「果実の種飛ばし」「潟(がた)スキー」「手づくり筏レース」、そして「よさこいソーラン踊り」等々。暮らして楽しい、訪れて嬉しいふる里を目指して、全国各地で「遊び心」を活かした町づくりが展開されている。
今や、町づくりのキーワードは「遊び」なのだ。「そこまでやるか!」「そんなのアリか?」の、オモシロ事例を厳選紹介。日本の田舎は遊んでいますぞ!
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仕事を終えた後ビールを飲みながらの雑談が、突拍子もないイベントの始まりだった。温泉街全体をエリアにして数百人で行う仮装かくれんぼ大会。どっちを向いても山しか見えない谷底だし、路地が入り組んだ狭い街。隠れた人を探して町を歩けば意外な名所を発見できる。ヒントを求めて通行人に話し掛ければ自然に交流が始まる。
手当たり次第に告知メールを送付し、ネット上の掲示板にもサクラになって書きまくった。そして大会は大盛況。TV局数社が取材、賞品の海外旅行を目指して怪しげな仮装をした参加者が温泉街を闊歩し、大学生サークルのメンバーは数十人でどぶ川の中までも探し回った。
町長がよくもこんなイベントを許可したかって?当日彼は、バカ殿の仮装をして露天風呂に隠れ、開閉会式を盛り上げた!
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夕日とともにスタートして、朝日が上がるときゴールする12時間耐久レースである。会場となる十勝インターナショナルスピードウェイは国内でも有数の国際規格サーキット。約90億円の工費をかけ完成され、最大収容人員は約3万人。
使用される車両は当然ママチャリである。普通のママチャリでの出場は約半分、参加経験者がいればレース専用に改造したマシンに変身する。例えばサドルがお尻に優しい素材に、ギアの変更、楽に前傾姿勢を保てる追加ハンドル・バー。
「競技中は真剣に、でも終わったあとは笑顔で帰ろう」これがレースの基本精神。担当者は大人になっても自転車を遊びの道具にできないだろうか、と思ったことがきっかけだったと言う。
参加者は集まったのかって?434チーム、約4000人と村の人口を上回った!
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半世紀近くにわたって学び舎として親しまれてきた中学校が幕を閉じることになった。過疎化による子供たちの減少と施設の老朽化、地域の中学校と統合という、よくあるケースである。しかし統合が決定した直後、地域住民は跡地利用検討委員会を発足させた。「学校という子供たちのための場所は、子供たちのための施設として利用したい」との意見が、委員すべての心を揺り動かした。
グラウンドは芝生広場やアート遊具が並ぶ「魔法の庭」に、回転寿司風カウンターの上を玩具やワークシートが流れる「くるくるステーション」、世界の民族衣装を身に着けられる「世界の10歳」、そしてパンやピザなどかまどを使ったプログラムなど様々なワークショップも体験できる。
子供は閉じ込めるなって?大丈夫、広々とした芝生広場のシャボン玉ガーデンで、子供も大人も夢中になって遊んでる!