建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

これぞデザイナーズマンション19 「ROKKA TERRAZZA」(2ページ目)

「ROKKA TERRAZZA」は、谷内田章夫さんが芦花公園に建てた大規模デザイナーズマンション。6年がかりのプロジェクトというこの巨大集合住宅のハイライトを見せていただきました。

執筆者:坂本 徹也

室内にストーリー展開のあるレイアウト

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玄関から階段を上って広場に出る感覚

続いては、エントランスからすぐ階段になっていて、3層分(下階-中階-上階)にわたって展開されるタイプのメゾネット住戸。エントランスからいきなりリビングに入るタイプの部屋にくらべて、こちらは居住空間にいたるまでのアプローチがある分、なにか余裕が感じられますよね(移動はシンドイけど)。

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天井の低い場所から吹き抜けに移動すると一種の高揚感が

こちらは下階が吹き抜けを持つLDK、折り返す形で上階へと階段が続き、上には2つの個室がバスルームを挟んで配されているというレイアウトです。2つの個室は吹き抜けに面して窓を持つ方が子ども部屋、奥まった方が主寝室ということでしょうか。

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吹き抜けに張り出す格好の個室
私個人の印象を言うと、子ども部屋の方が好きですねー。こういう室内の中にある室内というような「いれこ構造」の空間は、きっちり守られているような印象があって好みです(しかも完全な密閉型ではない)。
今まで多くのデザイナーズマンションを見ましたが、こういうファミリータイプのものは少なかった。これからは、こうした夫婦+子どもの核家族を意識した住居がデザイナーズマンションにも増えてくるような気がしますね。

ライフスタイルが選べる新タイプのデザイナーズマンション

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空間をスチール製の階段で繋いでファミリータイプに対応

最後は、やはりファミリータイプのメゾネットなのですが、ちょっと目を引く“仕掛け”のある部屋をご紹介しましょう。こちらは、エントランスからいきなり吹き抜けのあるリビングに繋がり、ふたたび上階の床が始まるというタイプ。つまり吹き抜けが室内の中央部にあるわけですね(他の部屋はほとんど吹き抜けが大開口部と同じ位置にある)。
これによってどんなことが起こるかというと、上階にあたる2つの個室が吹き抜けによって分断される。バスルーム付きの主寝室と子ども部屋は、吹き抜け中央にあるブリッジによって辛うじて繋がっているわけです。これはちょっとユニークな発想ですねー。

2つの個室は踊り場で接続される
空間的にはどの個室も一連なり

家族がどんなライフスタイルをで住まうかにあえて「答え」を用意せず、ご自由にお使いくださいという形でスケルトンのみを提供してきた印象の強いデザイナーズマンションですが、この空間は家族が“やや距離を置いて暮らす”というメッセージを発信しているように思います。

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南面の個室(子ども部屋)から主寝室+浴室を望む

思春期を迎えた子どものいる家庭にはピッタリの印象。しかしながら、それぞれの個室は、あくまでも吹き抜けのあるリビングで一つの“流れ”になるわけますから、独立しながらもしっかり繋がっている。これからは、こうした“選べる”デザイナーズマンションが多く出てくることでしょう。いろんな可能性の広がりに期待したいものです。

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子ども部屋から見おろしたリビング+ダイニングの見え方

設 計 :谷内田章夫/ワークショップ
構造設計:環総合設計
施 工 :大林組

敷地面積:5008.20m2
延床面積:18644.15m2
最高高さ:24.90m
構 造 :SRC一部RC造、地下1階地上8階
(T棟146戸+診療所+私邸)

谷内田章夫さんの他の作品はこちら↓
谷内田章夫/ワークショップの集合住宅「ilusa」
谷内田章夫さんの「PASSAGGIO」見学記
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