カレンダーを眺めていると、毎月何かしらのイベントがある。お正月、節分、バレンタイン…ふと気づくと、自分にとっては関係ない、でも日々暮らしているとなぜか意識せざるを得ない、そんなイベントが思い当たる。不自然に思えるほど、世間が騒いでいるけど自分は蚊帳の外、そんなこともままある。企業に躍らせれてない?そんな声も聞こえる。
オールアバウト「マーケティング」ガイドの安部徹也氏は、企業によるイベントマーケティングの存在意義を説明してくれた。
「イベントマーケティングは、アメリカでかなり定着した手法ですが、古くはここ日本でもあったと考えられます。誰もが知ってる土用の丑の日、これはエレキテルで知られる平賀源内が、閑古鳥の鳴くウナギ屋の主人に頼まれて、『土用の丑の日、うなぎの日。食すれば夏負けすることなし』というキャッチフレーズで関連付けて触れ回ったことで始まったものです。はじめに記念日や史実があってそこに乗せるパターンが多いですが、誰かの発言や企業努力で定着させられたイベントも、少なくはありません」
イベントマーケティングでは「諦めずに続けること」「一人や一企業だけでなく業界・市場がまとまっての努力が必要」とする安部氏。
「いざ何かを流行らせようと、個人や一企業が発案したところで、はいそうですね、とはなりません。例えば近年では節分の食習慣、恵方巻き。一地方の習慣であったこの文化が全国に広まった背景には、スーパーやコンビニといった全国展開が可能な流通網が中心であったことが大きい。逆にハロウィンのように、東京ディズニーランドのような大企業の大きなブランド力、宣伝力が物をいう場合もあります。どちらにしろ、一朝一夕でできるものではありません」
安部氏はさらに、イベントマーケティングが盛んなアメリカを例に挙げ、この手法にかける企業・業界が多い理由を語る。
「アメリカではほとんど毎月、イベントがあり、絡めたサービスを展開しています。その時期にちなんだものを売るというよりは、イベント=お祭りごとを増やし、消費者の購買意欲を高めることに主眼を置き、そこにあわせて大規模なセールを行うという形が多いですね。
何かにつけイベントを増やし、限定のものを買わせるだとか、バレンタインのように参加できる人が限られているととかく、あざとさを指摘されたり、反感を買うこともあります。しかし、イベントの持つ本来的な意味、お祭りムードを演出し、さらにそこで消費者が喜ぶような施策で楽しくお金を使ってもらう。企業の社会貢献として位置づけられているからこそ、定着し、廃れない手法となっているんだと思います」
お祭りムードで購買意欲が促され、消費が活性化、経済が好転…。この不況下だからこそ、求められる姿がそこにあるのかもしれない。
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