防災/防災関連情報

次は日本の可能性も!ハイチ大地震に学べ

2010年1月12日にカリブの楽園ハイチを恐ろしい大地震が襲った。その規模は阪神淡路大震災を彷彿させるものであったが、被害はその数十倍を超えるものとなった。その被害拡大の原因はなんであったのか。日本のおかれている状況と酷似したそのハイチ大地震を分析する。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

ハイチってどんな国? 地震の現状とは?

フロリダ半島の南、カリブ海の小島にハイチはある。

フロリダ半島の南、カリブ海の小島にハイチはある

2010年1月12日午後5時(現地日時)に中米の最貧国とも言われるハイチの首都を襲ったマグニチュード7の大地震。その被害は日を追うごとに拡大し、現地政府は12万人の遺体を収容。最終的に行方不明者を含めて被害者は20万人を超えるといわれています。人口の集中する首都ポルトーフランスの南西16kmという場所が震源となったために、多数の家屋や建物が倒壊し、スマトラ沖の地震に次ぐ、史上まれに見る大惨事になってしまいました。

キューバ、ドミニカ、ジャマイカ、バハマなどに囲まれ、裕福な観光客にとってはカリブの楽園とも呼ばれるこの場所が、迅速な救助、支援が行われなかったことによって、路上に遺体が山のように積まれ放置されるなど、想像を絶する地獄絵図となり、治安も悪化。犯罪者の逃走もあり、支援物資の奪い合いなどが起き、国家体制そのものが破壊されるという悲惨な状況になってしまっています。これが元の体制を取り戻すためには気の遠くなるような時間がかかることでしょう。

次は日本!? 「地震の巣」構造は日本と同じ!

この地域は実は日本のおかれている環境ととても良く似ていて、北米プレートと南米プレート、カリブプレートなどのプレート境界が、狭いエリアに複雑に密集した「地震の巣」のある場所です。さらに同じ震源による地震は250年以上発生しておらず、今回の地震はよく言われる「地震の空白域」に起きた大地震であり、プレート近くの地殻に蓄積された「ひずみ」によるものだとされています。そしてその震源が10kmと非常に浅く、横ずれ断層型というのも阪神淡路大震災に良く似たタイプの地震と言えます。

そしてこのハイチ大地震においては、国家の象徴とも言える大統領の宮殿や官公庁の建物、国連事務局の入る建物に至るまで、大きな建物が粉々に破壊されています。首都直下で起きた大地震であること、途上国の地震被害が拡大する典型として、建物の耐震性が非常に低かったこと、それが被害を大きくした最大の原因であることが見てとれます。

省みて、日本では多くの建物が、厳しい建築基準によって建てられているがゆえに、これほどの建物被害が発生することはありえないでしょうが、同じようなプレートの密集地域にあるこの日本で「地震の空白域」となっているプレート境界型の「東海地震」や「首都直下型地震」などについては、同規模あるいはそれ以上の大きな地震が、ごく近いうちに発生することは避けられません。まずは安全な家、安全な寝室に住み、出来るだけの準備を進めておくことが日本人の取るべき義務であることは間違いありません。

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