今年1月、文部科学省が、公立小中学校の学級編成基準の見直しに着手した。1学級40人としている現在の基準を、減らす方向だという。その背景には、何があるのか?オールアバウト「高校受験」ガイドの伊藤敏雄氏に聞いた。
「同省はここ数十年、1学級当たりの人数を50人→45人→40人と、5人ずつ段階的に引き下げています。その背景には、『個に応じた多様な教育の展開』という流れがあります」
学校現場では、子どもひとりひとりに対して、よりきめ細かな少人数指導が求められているということだ。学級人数については、2001年度から、都道府県教育委員会の裁量で、弾力的な学級編成が可能になった。
「国から地方へという地方分権の潮流の中で、教育委員会の判断に委ねる余地を、拡大したということですね。現在は、40人基準に捉われずに、弾力的な編成ができるようになっています」
では、実際の学校現場の人数は、どのような状況なのだろう。
「小学校の場合は、平均してだいたい30人ぐらい。中学校の平均は、もう少し多くて33~34人というところでしょう」
ただ、都市と地方の地域格差が大きいという。
「当然のことですが、地方の過疎の地域では、子どもの数が少ない。一方、人口10万人以上の市では、多めの状況にあるため、学級編成も、これに連動する傾向になっています。こうした地域間格差の是正も、今回の基準見直しの背景要因として、指摘できるでしょう」
ただ、少人数化には、財源の問題がある。
「より少ない編成を目指すとなれば、当然教員を増やさなければならず、これに伴って人件費などの予算措置が、必要になります」
民主党は、昨年の政権交代の前から、教育政策の一環として、「少人数学級の実現」を掲げている。
「これまで、段階的に5人ずつ減らしてきているので、おそらく現在の40人を、35人ぐらいを目安に減らすことを考えているのではないでしょうか」
国の台所事情が厳しい折、今後は、少人数化の実現と予算のやりくりが、鳩山政権の課題になりそうだ
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