長期保有なら安心の罠
日本航空株は、上場廃止が決定してからたたき売られ、1円という安値をつけました。金額に差はあっても、日本航空株を保有していた人の多くが損失を被ったことでしょう。しかし、2009年3月期の連結決算が赤字という発表した時、株価はまだ百円台でした。株価はその後、ずるずると下がり続けるという状況でした。チャートを見れば、誰にでもわかる事実です。
株主優待目当てなど、株を長期保有した多くの投資家は、恐らく損失額が増えていったはずです。それなのに、「損失は株主優待で埋められる」「いずれまた上がるはず」なんて思っていませんでしたか?
きつい言い方ですが、これらの思いにも何の根拠もありません。上場廃止が決定されるまでの時間の中で、何度も売る機会はあったはずです。早く売れば、それだけ損失も少なく済んだはずです。それなのに売らなかったのです。
損失が確定することを恐れて株を売れなかったのです。心の弱さが損失の拡大という結果を招いたと言わざるを得ないでしょう。
投資におけるリスクを管理するのは自分です。私も損失はできるだけ回避したいと思いますし、それが普通というものです。しかし、その心の弱ささが損失という事態を招く可能性を常に肝に銘じておかなければならないでしょう。