ボクが最も好きな洋菓子店!
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とってもやさしいイメージの外観。 |
2004年8月までロオジエのシェフパティシエを務めていた岡村尚之氏が、満を持してオープンさせたパティスリーです。ロオジエ時代の岡村シェフのケーキをこよなく愛していたボクにとっては、この上ない朗報であり、すでに何度も足を運んでいます。
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香り豊かな「シュー ア ラ クレーム」(220円)。 |
素晴らしいのは、ケーキの構成を以前のものからガラッと変えている点です。「五本木」という場所柄も考えてのことだとは思いますが、子供でも何の違和感もなく受け入れられる味の構成。リキュールも極力控え、見た目も至ってシンプルなのですが、その味は記憶の中で風船の如く膨れ上がります。特にシュー、プディング、モンブラン、フロマージュなど、当たり前のものほど食べた時の感動が大きく、香りのよさも天下一品。ここまで香りのいいケーキたちには、そうそう出逢うことはできないでしょう。
最も衝撃的なのが、洋菓子の基本ともいえる「タルト」のおいしさです。まず、チェリーとパート・ダマンド(マジパン)を組み合わせた「タルト スリーズ」(400円)や、フランボワーズとパート・ダマンドを合わせ、表面をマカロン生地で覆った「タルトマカロンフランボワ」(330円)、といった焼き菓子を食べてみてください。決して特殊な作り方をしているわけではないのですが、誰が食べてもその凄さを痛感させられるはず。旨み、風味がとても豊かで、体全体がやさしさに包み込まれるようです。「心を込めて作る」というシェフの想いがひしひしと伝わってきますね。
優れた料理人、パティシエの条件とは…
かつて岡村シェフは、ジャック・ボリー氏(元ロオジエのエグゼクティブシェフ)に「優れた料理人の条件は?」という質問を投げかけたことがあります。すると彼は、「おいしいサラダとテリーヌを作れること」と答えたらしいです。つまり、シンプルなものを丁寧に作れる人が、優れた料理人ということですね。それは洋菓子とて同じこと。基本のタルトをおいしく作れる人こそ、優れたパティシエなのです。その想いが強いからこそ、タルト型と綿棒をお店のロゴにしているのでしょうね。基本を忠実に。それがシェフが最も大事にしていることです。
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ちゃんとした意味がある右肩上がりの麺棒。 |
また、実はこのロゴ、よく見ると綿棒が水平ではありません。緩やかな右肩上がりになっています。これには、ゆっくりゆっくりと、少しずつ進歩していきたいという想いが込められているらしく、その実現に向けて、常に上を見据えたお菓子作りをしています。
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オープン1周年の様子について。