人気のリエット2種、マリネ
パスタなどポピュラーな料理から本格ビストロ料理までしっかり楽しめるdeca。メニューに印刷された定番料理のほか、黒板に多彩な季節料理の数々が綴られます。
ワインと共に楽しむ前菜として最適なリエットは2種類用意されており、親しみやすい「仏産鴨肉と豚肉のリエット」(600円)と、なめらかでコクのある「鶏白レバーのリエット」(800円)のいずれも人気を博しています。
個人的には両者とも甲乙つけがたかったのですが、この鶏白レバーのリエットに魅了され、週に3日はお店に通ってくる高齢の紳士もいらっしゃるそう。
また、「人参のラペとキャベツのマリネ」(500円)は箸休め的存在ながら、ほんの少しニンニクを加えて赤ワインビネガーにひたしたニンジンのおいしさに、箸ならぬフォークが止まらなくなります。
グラタン・ドフィノア、牛フィレ肉のステーキ
2度目にdecaを訪れたときには、2人でワインリストの中からカベルネ系の赤のボトルを1本選び、まず、自家製ピクルス(400円)、香ばしいナッツとくせのあるゴルゴンゾーラ・チーズの取り合わせが絶妙の「アンディーブと林檎のサラダ ゴルゴンゾーラソース」(650円)、Nid cafeの名物料理でもあった「グラタン・ドフィノワ」」(ドフィノア地方のグラタン・650円)を注文。グラタンはシンプルながらあつあつに焼けたジャガイモの風味とクリーミーなコクが際立つ人気の一品です。
おなかが落ち着いたところで、「自家製鴨肉のソーセージ」(1250円)と、フレンチフライを添えた「牛フィレ肉のステーキ ペッパーソース」(1700円)を堪能。
このソーセージは前回訪れたときに仔羊肉100%の充実した香ばしい風味を楽しんだ「仔羊のソーセージ」と同様、薄い豚の腸の中に注意深く肉を詰めていく手作業の結晶。あつあつの焼きたてをどうぞ。
左:仔羊のソーセージ(1350円)
右:人参のラペとキャベツのマリネ(500円)
柔らかな牛フィレ肉の旨みに、マスタードのコクとペッパーの香りが絡み合うステーキは、常連客のフランス人美術家の“先生”もお気に入りの一皿。
物静かで少し気難しい“先生”は銀髪の50代男性で、出された料理を自分好みの味にアレンジするよう、帰りがけにひとこと言い添えていくのだそう。このペッパーソースのステーキについても、自分の故郷のアルザスでは胡椒をきかせてこんなふうに作る…と数回リクエスト。アイリッシュコーヒーも「もっと甘みを」との要望で、塩野目さんは“先生用”のレシピで供しています。
いささか口うるさいフランス人かと思いきや、“先生”の連れのお客さまが塩野目さんに耳打ちしたところによると、「先月、アルザスに帰郷して地元のビストロに行ったとき、彼はdecaのほうがおいしいとつぶやいていましたよ」。