白ワインのような日本茶「桃源郷」
こうしていただいたのが、静岡市葵区寺尾で手摘みされるお茶「桃源郷」(1470円)。お茶はすべてお客さまのテーブルのそばワゴンを運び、目の前で淹れてくれます。まず、茶葉そのものの爽やかな香りをかがせてくれたあとで(写真上左)、和多田さんはその茶葉を蓋碗にうつし、少量のお湯を注ぎました(写真上右)。 次に、蓋碗に氷を2つ加えてそのまま5分ほどおきます(写真上左)。フレッシュな香りと味がひきだされたタイミングを見計らって、吟醸酒をいただくような小さな杯に氷をひとつ浮かべ、その上に蓋碗から静かにお茶を注いでいきました。(写真上右)
目の前に差し出された一杯は、驚くほどの香りの強さ、そして甘やかな風味。一般的に、おいしい日本茶を思い浮かべるときには、舌にアミノ酸の旨味がよみがえると思いますが、「桃源郷」のフルーティーで透明感のある味わいはまた別種のおいしさ。なるほど白ワインです。
「これもまた、日本茶の多彩なおいしさのひとつなんですよ」
と和多田さん。
1せん目は透明だった液体は、2せん目になると旨味がたっぷり抽出されて淡く美しいグリーンに。杯を重ねるごとに新しい表情が引き出されていきます。
日本茶インストラクターの資格を持つ和多田さんは、かつて司法試験の勉強中にストレスからアトピーが悪化し、その治療のために日本茶の世界に入っていったという経歴の持ち主。現在ではアトピー体質だったようにはとうてい見えない健康体ですが、それもおいしいお茶のおかげだそう。
次のページで、和多田さんに教わった日本茶をおいしく淹れる方法をお伝えします。