ロゼとビスキュイ・ローズ
メインの肉料理から一転して、華やかなロゼが注がれる。ペリエ ジュエのベル エポック・ロゼ2002年だ。ペリエ ジュエの本領発揮、目にも鮮やかなボトルである。ベースの白ワインに、ブジイとアンボネイの両村のブドウで造った赤ワインを3%加えて造るのだが、デシャン氏がロゼを造る際に気をつけているのは「色をきれいに仕上げつつ、赤ワイン的な風味を出さないようにすること」だという。なるほどこのワイン、色は淡めで少しオレンジ色からレンガのような赤茶色を帯びていて、ソフトでよく調和した風味である。
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ペリエ ジュエ ベル エポック・ロゼ 2002年 |
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『ビスキュイ・ローズ・ド・ランスのムース、ロゼ・シャンパンのソルベとフリュイ・ルージュをあしらって』 |
このシャンパーニュに合わせたデザートは、シャンパーニュに浸して食べるお菓子として有名なビスキュイ・ローズ・ド・ランス(シャンパーニュ地方の都市ランスにちなんだピンク色のビスケット)をアレンジしたものに、ロゼ・シャンパーニュそのものを使ったソルベ(シャーベット)と赤いベリー類のソースを加えたものである。すべての要素がロゼ(バラ色)尽くしだが、まったく飽きないのはロゼ・シャンパーニュがほどよいコクと穏やかな風味で口中を満たすからだろう。デシャン氏によれば「このワインはフォンダン・ショコラと合わせると、それはおいしいですよ」とのこと。これはぜひ試してみたい。
ベル エポックと芸術
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食事の最後に供された『小さなお菓子』 |
この試飲会に同席したのは、パリ在住の若き日本人女性アーティストMakiko Takehara氏。ペリエ ジュエの『アート・オブ・ヴィンテージ』という大判ヴィジュアルブックが出版されたのだが、その中でヴィンテージそれぞれのイメージを表現した写真作品を手がけたのが彼女であった。この本は、昨年3月にサザビーズのセレナ・サトクリフ氏の監修で、ワインジャーナリストを招いてベル エポックの1825年を含む20ヴィンテージの比較試飲会を記念して作られたものである。
Takehara氏は作品について「それぞれの年に象徴的な物事と、その年のベル エポックの味わいなどを組み合わせて作品を作っていきました」と語った。例えば1996年にはその頃のナイトクラブ・シーンとペリエ ジュエの代名詞である青草色をあしらい、85年はこの年のベル エポックの力強い味わいに、芸術家バスキアのようにストリート的なアートをイメージしたという。彼女の写真は、さまざまなイメージのコラージュであるこの本の中でも、見るものを惹きこむような独特の魅力を放っているのが印象的である。