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どうしてあの人はネット依存性になったのか? あなたに忍び寄るネット依存症(5ページ目)

忍び寄るネット依存症の影。知らぬ間に社会から逃れるようにバーチャルな世界にドップリとハマってしまった人々はどこへ行くのでしょうか? ネットゲームを事例に対処法を考えていきます!

執筆者:宇川 伊知郎

親の期待に押しつぶされたM子さん
『現実逃避型』依存性の事例

4人家族の長女として生まれ育ったM子さん。子供の頃から非常に勉強ができたM子さんは、“お受験”をして、有名国立小中学校に通いました。その後高校は都内でも東京大学への進学率がナンバーワンの進学校に合格。高校でも模試の結果が常にトップクラスだったM子さんに、周囲の期待は高まる一方。特に、大学に進学したかったのにできなかったM子さんのお母さんにとって、M子さんは「自分の果たせなかった夢を叶える分身」というような存在でした。


猛勉強するも、東大合格ならず

しかし、運命とは皮肉なもので、模試の結果では「合格間違いなし」であったはずの東大に、M子さんは1年浪人生活を送っても合格をすることができませんでした。

結局、私立大学で最も難関と言われる大学の1つに進学したM子さん。お母さんの落胆に胸は痛んだものの、大学入学後は楽しい学生生活を過ごしていました。


M子さんを襲う厳しい現実の数々

ネットゲーム
そんなM子さんに再び悲劇が訪れたのは、バブル崩壊後の就職活動でした。当然M子さんのお母さんは有名企業への就職を望んでいたので、M子さんは「今度こそは!」と、必死に就職活動をしました。しかし、やはりここでもM子さんは希望の就職先にことごとく不採用通知を送りつけられてしまいます。またしても、M子さん本人が落ち込むのはもちろん、M子さんのお母さんもM子さん以上に落ち込んでしまうというような結果になってしまいました。

そして、なんとかそこそこ希望の就職先にめぐり合い、頑張って働いていたある日、M子さんはお母さんから信じられない報告を受けました。なんと、子供の頃からパッとした成績を収めたことはなく、親には「あの子はどんな人生でもいいから幸せになってくれれば」と言われていたM子さんの妹が、東大の大学院への進学が決まったというのです。

興奮して電話してきたお母さんは、心から嬉しそうな声で妹を誉めちぎっています。M子さんは、存在意義やそれまでの人生を全て否定されてしまったような衝撃を受けました。


自殺未遂を繰り返し、自宅にひきこもってのネット依存性生活

その後しばらくは普通に生活をしていたM子さんですが、そのうちに自殺未遂を繰り返すようになり、遂にはいわゆる「ひきこもり」と呼ばれる状態になってしまいました。自宅にひきこもって数年間、M子さんは毎日、チャットや掲示板への書き込み、ネットゲームなどをして過ごしたそうです。

しかし、M子さんがこうなってしまったことをきっかけに、M子さんのお母さんは「妹には母親らしい愛情を注いでいたが、M子さんには自分のコンプレックスを払拭する役回りを押し付けてきただけだった」ということに気がついたそうです。小さな子供のように泣きじゃくることもあるM子さんに、「もう一度最初から子育て」のつもりで接してきたお母さんの努力もあり、今ではM子さんはアルバイトができるまでに回復してきたということです。


インターネットの問題ではない、『現実逃避型』依存性

何か現実の環境に問題があり、そこから逃れるためにインターネットにのめり込んでしまう『現実逃避型』依存性は、その人が逃れたい問題の解決なくしては、依存性克服は非常に難しいといえます。もちろん、単純に「インターネットから遠ざければ治る」というわけにはいかないでしょう。M子さんの事例のように、依存性の原因が本人だけの問題ではないことも多く、周囲の人の協力が他の依存症に比べてより一層必要なケースが多いように思います。


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