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松井秀喜ほど周囲に気を遣う人間はいない

開幕は「8番」からスタートした松井秀喜だが、一時はリーグの首位打者になるほど打ちまくり、「4番」までたぐり寄せた。その好調は「結婚」にあるといえるだろう。詳細をさぐってみた。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

リハビリ成功の最大要因は「結婚」

松井秀喜
右膝故障の影響が心配された松井秀だが、いい意味で期待を裏切り、一時は首位打者に躍り出た
ヤンキースの松井秀喜外野手(33)が頑張っている。「頑張っている」という表現は、自然体をモットーとする本人にとっては納得がいかないだろうが、今までとは違う自分を出しているのは間違いない。

今年のキャンプ前、ジョー・ジラルディ新監督は、松井秀にレギュラーの座を確約しなかった。このこと自体、巨人時代から含めて初めての出来事だ。全ては手術した右ヒザの回復具合にかかっていたといえる。リハビリが何よりも大事で、ジラルディ監督にしてみれば、開幕に間に合わせることの焦りからさらに長引く結果にしたくはなかったのである。

ところが、右ヒザのリハビリが本当にうまくいった。開幕は「8番」からスタートした打順が、一時はリーグの首位打者になるほど打ちまくり、「4番」までたぐり寄せた。ベンチで控えに甘んじるどころか、例年以上にヤンキース打線に欠かせない存在となっている。

右ヒザのリハビリが成功した最大の要因は、何といっても「結婚」にある。松井秀自身、太る体質ではないにしろ、100キロを超える体重はやはり、ヒザへの負担は回避できない。そこで新妻による体調(体重)管理というのが重要なポイントとなる。独身時代は、もちろん外食中心。フロリダ州タンパでのキャンプ生活では、お気に入りのベトナム、タイ、チャイニーズのローテーションだったし、ニューヨークでは決まったジャパニーズレストランでの食事が主だった。それを「料理上手」(松井秀いわく)な奥さんが改善。キャンプ中でもシーズンに入っても、さっさと自宅へ帰って手料理を食している。

アメリカに住み外食中心の生活に慣れると、なかなかカロリー計算などできず、バランスが悪くなる。さらに良くないことは、あまりうまくもなく、満足感を得られないとフラストレーションが溜まることだ。アメリカで住んで太る場合の要因は、高カロリーな食べ物が多いことと、このフラストレーションによってヤケ食いしてしまうことも忘れてはならない。

その点、家庭での食事だとカロリー計算もしやすく、バランスも取りやすい。加えて好きな日本食となると、満足度(充実度)が違う。松井秀好調の理由の第一は、新妻による体調管理の成功で、まさにファインプレーといえるだろう。
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