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モノ言う選手、中田英寿(2ページ目)

中田が引退を発表した。29歳とまだ十分プレーできた彼の軌跡を追う。

執筆者:杉浦 義宏

監督との衝突


マイアミの奇跡といわれたアトランタオリンピックではブラジルに勝利したが、ナイジェリア戦で攻撃と守備のバランスが取れずに敗退した。その時に中田と西野監督(現ガンバ大阪監督)の間で意見の違いがあったようだ。どちらの意見が正しいかは判断を下せないが、自分の意見を曲げないところがあった。

それはこの時だけなく、海外へ移籍してからも続いた。特にパルマへ移籍した際、当初はチームの中心としての役割を期待されたはずが、ブランデッリ監督(現フィオレンティーナ監督)が就任すると「サイドと中央を行き来したい」と考える中田と「サイドを前後に走れ」と指示する監督の間で意見が食い違い、結局中田は新天地に活路を求めた。

その後、ボローニャでは中田の活かし方を理解していたカルロ・マッツオーネ監督は中田を中央で起用した事で一時再生した。

変えたかった代表の意識


2006年のドイツワールドカップへ向けて日本代表は予選で苦しんだが、中田自身は選手のメンタル面に問題があると常々コメントしてきた。

特に2004年2月18日のオマーン戦では、「選手たちが浮ついていたので集中していない部分があったため、そこを盛り上げられれば」と語り、3月31日のシンガポール戦の試合後には、「技術的な問題ではない。気持ちの問題」と選手たちに気持ちが足りない事を指摘していた。

中田のHPの2006年7月3日のメッセージには、最後まで上手く伝えられなかったと書かれている。彼なりに試行錯誤してきただろうが、結局実らなかった。

日本でなければ良かったのかも


海外では練習で喧嘩をする事は日常茶飯事で珍しいことではない。しかし、練習が終わればお互い先ほどまでの喧嘩が嘘のように仲良く会話をする。それがプロであり、チームメイトなのだろう。だが、日本人にはそういう感覚は残念ながら少ない。

海外的思考の中田の進んだ考え方に日本的思考の他の選手がついて来れなかったのかもしれない。ただ、このままではいつまでたっても中田を超える選手は出てこない。日本という殻を破る選手が中田であり、プレーや経歴だけでなく精神面でも彼に続く選手が早く出てくることをサポーターは期待している。


【関連情報】
中田英寿オフィシャルホームページ
スポーツナビ
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