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ワールドカップアジア最終予選 北朝鮮戦 決戦前日の日本代表

順調行けば今夜21:30過ぎには世界で一番早くドイツワールドカップ出場が決定します。その前日の練習の模様をバンコクから元川悦子さんのレポートでどうぞ。

執筆者:小野寺 俊明


順調に行けば今夜21:30過ぎには世界で一番早くドイツワールドカップ出場が決定します。その前日の練習の模様をバンコクから元川悦子さんのレポートでどうぞ。

<日本出場決定の条件>
・日本が北朝鮮戦で○か△
・日本が北朝鮮戦で●の場合、バーレーンがイラン戦で△か●の場合
※日本が●、バーレーンが○の時のみ決定しない

●選手コメントはこちらから

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ついにドイツ行きを賭けた北朝鮮戦
カギを握る小笠原、稲本、中田浩二

バンコク入り2日目に突入した。この日も朝から猛暑に見舞われた。バーレーンも暑かったが、こちらの暑さは湿気の分だけきつい。外に出て何分か立っているだけで汗が滴り落ち、来ている洋服がべとべとになってしまう。何度シャワーを浴びても意味がない。そういう意味では、この暑さは東京の夏に近いかもしれない。この日は珍しいことにスコールも来ず、終日猛暑が続いた。

決戦前日の日本代表トレーニングは16時から。バンコク郊外のアーミースタジアムで行われる。それまではマッサージなどでリラックスしたいところだったが、原稿書きに追われ、それどころではない。しかもここ数週間の過密日程がたたり、体調もあまり芳しくない。新潟にUAE、バーレーン、タイと移動する選手たちも大変だが、それを追いかける方も大変なのだ。けれども日本のドイツ行き決定の瞬間はもう目の前に迫っている。ここで倒れているわけにはいかない。気力を振り絞って仕事仲間とタクシーに乗り、練習場所まで行った。

現地に到着すると、大勢の子供たちとファンでごった返していた。8日17時半からスパチャラサイ国立競技場で行われる2006年ドイツワールドカップアジア最終予選・北朝鮮戦はご存知通り、無観客試合。一般の人々が選手たちを間近で応援できるのはこの日が最後なのだ。それだけに熱気がすごい。現地日本人学校の子供たちは日本代表が到着するや否や、記念撮影を実施。代表チームを激励していた。日本からやってきたウルトラスニッポンのメンバーが「世界で一番乗り、たとえ近くにいなくても」などと書かれた横断幕を掲げる一幕もあった。ジーコジャパンを取り巻くムードはまさにオーバーヒートしている。

そんな中、トレーニングがスタート。指揮官は決戦を前に「明日は絶対に勝って決めよう。楽しんで戦おう」と訓示をした。右ひざ痛の中澤佑二(横浜)は姿を見せなかったが、前日まで別メニューだった中村俊輔(レッジーナ)も合流。チーム全体が活気に満ちている。

練習はいつも通りのウォーミングアップの後、この日はセットプレーも戦術確認もなしで、一気にリラックスのためのミニゲーム(10対10)に突入。攻撃陣対守備陣という顔ぶれも普段と同じだった。そんな中、特に際立ったのは、北朝鮮戦で先発2トップを組む鈴木隆行(鹿島)と柳沢敦(メッシーナ)が揃って3ゴールを決めたこと。たとえ遊びのゲームといえども、決定力不足に悩むFW陣が得点を量産したのは明るい材料だ。この最終予選が始まってからのFW陣のゴールは、2月の北朝鮮戦(埼玉)の大黒将志(G大阪)の1点のみ。ドイツ行きを賭けた大一番ではそろそろ彼らのシュートが見たい。

中田英寿(フィオレンティーナ)と中村の中盤の2枚看板が累積警告で出場停止となるこの試合は、やはり小笠原満男(鹿島)に託される部分が多い。3日のバーレーン戦の値千金の決勝点を含め、彼は最終予選2得点。キリンカップでは本領を発揮できなかったが、ここへきて確実に存在感を増している。今回は鹿島勢が中核をなすだけに、日本の攻撃が彼のボールさばきに託される部分は多い。そういう責任を感じているのか、練習後の小笠原は口を閉ざした。

宮本恒靖(G大阪)は「満男は試合に集中したいんで、今日は喋りません。申し訳ないんですが」と心境を代弁していた。そこまでして集中力を高めているのだから、今日のゲームでは特別なパフォーマンスを見せてくれることだろう。

左サイドの代役としてピッチに立つ中田浩二(マルセイユ)、ようやく先発出場の機会がめぐってきたボランチ・稲本潤一(ウエストブロミッチ)も注目すべき存在。中田浩二は三都主アレサンドロ(浦和)のようにスピードで一気にタテを突破できるタイプではないが、守備力があり、左足の長いキックで局面を変えられる。ボールをキープし、リズムをつけることもできる。彼の加入で左サイドに1つの攻撃の起点が作られるのだ。

本人も「チームに適応しつつ自分のよさを出したい」と意欲的に語っており、何をやってくれるのか楽しみだ。稲本にしても代表スタメンは昨年12月のドイツ戦(横浜国際)以来。最終予選が始まってからはベンチを温める機会が多く、時間稼ぎ要員に使われることさえあっただけに、その汚名を返上したいところ。「そういう個人的なことを考えず、この試合はとにかくドイツにつなげることが大事」と25歳になったビッグベイビーは冷静に語っていた。

今回の試合は気象条件も不透明だし、無観客という難しさもある。キックオフ時が晴れて蒸し暑いのか、スコールが来るのかも、その場になってみないと分からない。万が一、大雨に見舞われた場合にはボールをまともにコントロールできない事態も想定される。そういう中でも集中力を切らさず、自分たちのペースで戦うことができれば、自力突破は確実に見えてくる。

北朝鮮戦の予想スタメンは、GK川口能活(磐田)、DF田中誠(磐田)、宮本、坪井慶介(浦和)、右サイド・加地亮(FC東京)、左サイド・中田浩二、ボランチ・稲本、福西崇史(磐田)、トップ下・小笠原、FW柳沢、鈴木の3-5-2。中澤が出場OKになれば左DF入る可能性もあるが、今のところはこのメンバーで行くと見られる。対する北朝鮮はホームゲームと同じ4-4-2。3日のイラン戦(テヘラン)同様、中央を固めてカウンターを狙う策を採ってくるとみられる。

「1次予選から今までを振り返ってみると、結構長くて厳しい試合が多かった。明日も厳しくなると思う。無観客といえども、日本からのサポーターの声はしっかりと届いている。とにかく頑張りたい」とキャプテン・宮本は練習後、神妙な面持ちで決戦への心境を吐露した。昨年2月の1次予選・オマーン戦(埼玉)の苦闘から1年4ヶ月。長く険しい戦いを経て、選手たちは今日、ドイツ行きを自らの手で手繰り寄せるはずだ。

●選手コメントへ続く…
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