ガイド:会場の様子はいかがでしたか?
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裏千家茶の湯インスタレーションが始まる前の山下画廊ブース |
手塚隆一:第一回の昨年と比較すると、サブプライムローンなどの影響をもろに受けて、入場者は15パーセントぐらい減っているようだという声を聞きました。しかしながら、11月6日のオープニング・セレモニーは大変に盛況で、開始時間の5時になると山下画廊が出展したプレミアムホールには人が溢れておりました。 5時から9時までの間に3,500人ぐらいの招待客がプレミアムホールを中心に展示を見て回っておりました。
ガイド:手塚雄二氏の作品『YUJI』はどんな展示になりましたか?
手塚隆一:山下画廊のブースはプレミアムホールの中で最も広いスペースを占めました。スペースは8.5m×8.5mの広さです。 手塚雄二氏の四曲二双の風雷屏風(174cm×1392cm)が15畳もの広さの黒畳の上に置かれ、黒い床の間に飾られた掛け軸「月霞」と共に、 そこで表現された様式美インスタレーション(超芸術空間YUJI)が現代芸術であることを立証いたしました。
11月6日のオープニング・セレモニーで行われた裏千家、金澤宗維氏による茶の湯としてのインスタレーションでお手前において使われた古道具(江戸時代から明治期)と手塚雄二氏の作品とのコラボレーションも見事でした。
ガイド:事前にCGによる完成イメージが発表されていましたが、実際に設営されてみてどうでしたか?
手塚隆一:豪華客船が着くターミナルのような何もない場所をわずか10日間だけアートフェア主宰者が借りるわけです。まさか、11月5日の1日ですべて設営するということを日本に居たときは想定しておりませんでした。時間との戦いだったと思います。
ガイド:お客さんの反応はいかがでしたか?
手塚隆一:私の会ったアメリカ人の中年女性は「ポエムが聞こえる。この作品が、美術館レベルの物であることは承知しているが、欲しくなるわね」と言っていました。また、中東系と見受けられる若い男性は「言葉にならない」と言うと、じっくりゆっくり見入って、その後、深くお辞儀されていました。満足された様子でした。アメリカ人の中年男性からは「ありがとう。こんな本物の展示をしてくれて」という言葉もいただきました。日本人の観客の方は「本物を見る機会を与えて下さりありがとう。本ではわからない深い色が見られて感謝」と言っておられました。
その他、アメリカ人の若い男性、中年女性、中年男性が、掛け軸の月を見入って、共感の言葉と言うのでしょうか、「空気を感じる」といった共通の感想が寄せられました。
ガイド:「空気を感じる」とは、まさに粋な風流人の言葉ですね。凛としたものとか厳かなものが漂わせる空気ということでしょうか。 今後もこのような機会が多くなるといいですね。本日はありがとうございました。
■次ページからは画像で見る会場風景です。(撮影:
平野多聞)