日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-漆原夏樹

・・・人を楽しませるもの、視覚的な快楽を与えてくれるものにこの上なく惹かれてしまいます。日本画という表現を選んだのもそこに繋がる日本美術の源泉に私を楽しませるものを感じたからなのだと思います。

執筆者:松原 洋一

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漆原夏樹 URUSHIHARA NATSUKI
1977年 神奈川県生まれ
2003年 東京藝術大学大学院修士課程日本画専攻修了
最新情報

 


制作の視点

現実世界の様々な事象を絵画空間に置き換え、そこに視覚的な快楽と蟲惑的な謎を沈み込ませたい。そのようなことに思いを巡らせながら制作しています。
作品に対してはまず見て楽しめること、ある種のエンターテイメントとして足りうるクオリティーを持たせたいと思っています。私は人を楽しませるもの、視覚的な快楽を与えてくれるものにこの上なく惹かれてしまいます。この日本画という表現を選んだのも、そこに繋がる日本美術の源泉に、私を楽しませるものを感じたからなのだと思います。

作品について

理想としてこのようにありたい、見てみたい映像は確かにあるのですが、なかなか形にはなりません。作品の拠り所として何かが降りてくるように図像としてのイメージが浮かび、それが何を表しているのかを少しずつ確認しながら具現化していきます。そのために写生を重ね、下図を作り、技法を選び出します。そしてだんだんとぼやけていたものが目の前に現れる感触は、私に生きている実感を与えてくれます。
作品の在り方としては、現実世界に作用する力を持ったものに憧れます。仏画や障壁画などは成立当時から憧憬や畏怖の対象となり、ある種のエンターテイメントとして超越的な体験をもたらしてくれる装置だったのだと思います。そこには時代を超えて価値を持続し、時代に合わせて価値を変容させていける普遍性を感じます。そのような存在に少しでも近づけたいので、一応はそこに繋がっていると思われる日本画の素材を使って絵を描いています。この素材を使う以上は技術が必要不可欠であるので、イメージを具現化し価値を維持し続けるためにも最適化された技術を常に探し出していきたいと思います。

漆原夏樹
「黄金郷」
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