日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-田中武(2ページ目)

・・・菱田春草の言葉にある「技術や材料はどうであれ日本人によって製作された絵が一様に日本画とみなされる時代を待望する」というところに、日本画定義の重きを置いています。

執筆者:松原 洋一

◇カレーライスと青木繁

僕は日本人が描いたものが一様に日本画だと思っています。日本画というジャンルの下に油絵画、アクリル画、岩絵具画等があるものだと考えています。海外から見るJapanese paintingというものは、この図式だと思います。デリケートな問題ではありますが、僕自身は上記でも述べたように日本画の定義をもっと大きな場所に戻してあげる時期に来ているのだと思います。そう考えると日本画滅亡論も日本画復活論も、実はあまり意味のない論争のような気がしています。
昔からの日本における独自性としては、やはり“生活との結びつき”というものが言えると思います。それが屏風絵や襖絵、又は掛け軸だったりするのではないでしょうか。では屏風絵や襖絵を描いていれば日本画と呼べるのかと言えば、現代の鑑賞方法や生活様式等から考えて、一概にそうとは言えません。しかし、そうした要素も吸収しながら、新たな絵画表現を追求していかなければならないと考えます。

先日、とある洋食屋でカレーライスを食べました。我が国では、カレーは洋食と位置付けられています。でも本場インドの人から言わせると、日本のカレーはインドカレーから離れ、既に日本独自の食べ物になっているとよく聞きます。しかし、幾ら日本で独自の発展を遂げ様と、カレーが和食と言われる事はありません。それは恐らく、カレーの発祥が海外(インド)にある事が大きな要因に挙げられるのでしょう。
青木繁は洋画家として分類されていますが、僕は彼こそ日本画家だと認識しています。画材こそ油絵具ですが、彼の描いている題材には紛れもなく春草の言葉を感じれるからです。カレーライスを食べながら、カレーが洋食と位置づけられている事と、青木繁が洋画家と位置付けられている事が、何だかリンクしてしまったのでした。

◇田中武作品

「ある食卓での事情」 2007年

第7回佐藤太清賞美術公募展「衝動~夜の森~」 2007年

2005京展「光と影」 2004年



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