日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-松崎和実

・・・「箔、和紙という薄い素材で出来た魚を漂わせて、深い空気を表現できるよう制作しています」

執筆者:松原 洋一

MATSUZAKI KAZUMI

松崎和実
1969年 宮崎県生まれ
1996年 上京

家のポリプテルス(2匹)は元気なのですが、3匹いるランチュウのうち1匹が他界してしまいました・・・。原因は今流行のイジメ。1年半の命でした。でも、この子は一度モデルで描いて、その絵はある方が買ってくださっているので、おそらく半永久、僕より永くこの世を泳ぎ続けることでしょう。

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◇制作の視点

子供のころから魚好きで飼うのはもちろん、川に採りに行ったり、釣り、料理といろんな意味で魚に魅了され続けています。いちばん感情移入できるモチーフといえば僕は魚でした。

それから制作の上で欠かせない素材として、箔と和紙。そして墨。現在の作風になるまではずっと水墨画でした。今でも水墨画は大好きで、「墨」は欠かせない素材ですね。水墨画が好きと言っても日本では絶滅に瀕している「つけたて」の作品です。一筆一筆に魂が宿っているというか、命賭けてるというか…。一筆でいくつもの表現をしているし、いくつもの想像を掻き立てる。そしてそれを描くことで周りの空気まで、匂いまで表現している。だから僕も極力背景は描かないようにしています。周りを表現しうる魚を描きたいですね。

その魚も箔や、和紙の素材の美しさを消さないよう描きこむ。それぞれがすばらしい特性を持っており、その特性、美しさを生かせるよう制作は気をつけています。これら、モチーフ、素材を使い、そこに存在しないはずの空気を表現したい。やたらリアリティを追求して筆数多く描き込むわけでなく、必要最小限「本質」のみを抽出して描き上げた魚を、「箔、和紙」という薄い素材で出来た魚を漂わせて、深い空気を表現できるよう制作しています。
◇作品について

まずは筆数多くとも、技法を確立して体に刻む為とにかく100匹描こうと思いました。鱗が目に焼きついてたのか30匹目くらいまでは風呂場のタイル、レストランや喫茶店の壁、服、ひどいときは空まで全部、鱗に見えましたね。
いくつも壁があったけど、いろいろ試行錯誤してなんとか形になっていきました。理屈抜きの感も大切にしつつ・・・


そしてこの技法を体に刻んだあと、動かしてみようと、筆数を削ぎ落としていこうと、遊んでみようと、考えていました。そんな折、ある方からの依頼でそれまでからすると大きな作品を制作する機会をいただいてアロワナの群図を手がけることになりました。事前に伺っていたストーリーを織り交ぜ制作したわけですが、その過程でいろんな発見がありすごく楽しかったですね。

「#65」
◇いま関心のあること

一流の料理人。素材(モチーフ)の扱い方、見せ方、センス、感動とまさに現代のアーティストと言えるのではないでしょうか。



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