日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-古澤洋子

・・・単に風景ではなく、この時代に生きている証としてでもあり、生きていることの奇跡、軌跡としての生命を描きたいと思っています。

執筆者:松原 洋一

FURUSAWA YOKO


古澤洋子
1968年 金沢市生まれ
1993年 金沢美術工芸大学大学院修了
詳しい経歴

先日再び北アルプス・剱岳に会いに行きました。下界はもう夏日ですが上はまだ雪一色白銀の世界。久しぶりの冬山装備とザックの重さに運動不足の身体は悲鳴を上げながら、超急斜面を一歩一歩アイゼンの刃を効かせ登ること4時間。尾根に出て現れた剱岳の山塊に息を呑むほど感動し途中の苦痛も吹っ飛びました。これが私の源動力となっています。12時間歩き続けた時も、自分との戦いの末得た絶景は視覚美を通り超え生きていることの実感と喜びとなります。

◇制作の視点

今私たちが生きているということは「無限に流れ続けている‘時’の中で、限りある生命として実在している」ことであり、それは奇跡であってとてつもなく貴重な瞬間です。例えば大自然の雄大な山々の前に立った時、そのスケールの大きさに圧倒させられ、また同時に自分達人間の愚かさや儚さに気づきます。そして足元を行く小さな蟻も、極寒の雪の下からも芽を出す花達も、人間も皆同じように短く限りある命を懸命に生きようとする強さを持ち、生かされているのだと感じます。

それなのにこれまで人類の歴史は数え切れない多くの奇跡の命を理不尽な形で葬ってきました。なぜ人間は奇跡である命を粗末にし、なぜ世界中それに気づかない人達が多くいるのでしょう。こんな慢性的な怒りが私の中にあり、壮大な地球の造形物(山や自然など)や、堆積された‘時’の重みと何世代もの生活のドラマの舞台である古民家をモチーフとして吐露しています。
◇作品について

「月に咲く」-断崖絶壁に、時には氷点下になる強風の中凛と真っ直ぐ天に向いて咲く生命を描くことによって、自分も人知れずとも真っ直ぐ歩いていきたいという思いです。

「月に咲く」

「岳人図」-容易に人を寄せ付けない険しい山容に向かって数珠つなぐ人の列。人間の愚かさと高い目標に向かう固い意志を表しました。

「岳人図」
◇9月に予定されている「2007 金沢美大OB 東京・銀座大展覧会」について

沢山の個性が響きあうMade in Kanazawaの美で人々を魅了したいですし、個展や公募展とは違ったテイストで作品を創ってみたいと思います。

展覧会名:2007 金沢美大OB 東京・銀座大展覧会
会期:2007年9月10日(月)~9月15日(土)
古澤洋子出品予定グループ展
出品:土屋禮一、鹿見喜陌、山本隆、古澤洋子、岩田壮平、他
会場:ギャラリー戸村



■「2007 金沢美大OB 東京・銀座大展覧会」は金沢美術工芸大学の卒業生が会期(2007年は9月10日~15日)を決め、銀座界隈で一斉に個展・グループ展を開催する大イベントで、2004年に続き2度目になります。今後、オールアバウト[日本画]では出品予定の日本画家をシリーズで紹介していきます。→2007 金沢美大OB 東京・銀座大展覧会詳細

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