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JSP-Portrait-山崎宏

今回出品した作品は金や銀、そして青、黄、白色に加工された厚紙を支持体としています。金や銀の光は太陽神や月神、そして蛇神の目を象徴し、同時に過去、現在、未来を内包した真空状態の時空を表現しています。

執筆者:松原 洋一

YAMAZAKI HIROSHI


山崎宏
1965年 東京都生まれ
1988年 東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
1990年 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了
1992年 東京芸術大学大学院美術研究科博士後期過程中途退学
0000年 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究生修了

展覧会
充満する四つの時間-日本画の手法-展
出品:山崎宏、山田宴三、新恵美佐子、山崎純子
会期:2006年8月23日(水)~8月29日(火)
会場:日本橋高島屋美術画廊
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◇制作について

日本画とは何なのか、という問いはこれ迄幾度となくなされてきました。政治、制度、市場、技法材料等の様々な観点で論議され、数多くの実験的な展覧会が開かれてきました。それらも問題の重要な論点であり、当然軽視する事はできません。しかし、私はその議論だけでは到底納得できない思いをずっと抱き続けてきました。

言葉の定義付けはともかく、私は日本の絵が他と区別される事にはもっと他に何らかの深い理由があるのではないだろうか、どんな原因がそうさせるのだろうか、という問いをずっと持ち続けています。そしてその答えこそが、新たな価値観を持った新しい絵画を生み出すエッセンスになるのではないかと考えているのです。

これからの新しい絵画は欧米や中国が持つ空間主体の構造では無く、日本に根強く存在する「時空同一視」の表現によって生み出されるでしょう。
◇「充満する四つの時間-日本画の手法-展」出品作について

今回出品した作品は金や銀、そして青、黄、白色に加工された厚紙を支持体としています。金や銀の光は太陽神や月神、そして蛇神の目を象徴し、同時に過去、現在、未来を内包した真空状態の時空を表現しています。

青、黄、白の配色は古代中国で生れた陰陽五行そのものです。東は春や「青春」の語源ともなった青を、西には秋や言が配当され「独白」「告白」の由来の白を、中央の黄は全ての季節を司る四季の王を、そして同時に人間界をも象徴します。日本人は古代より水平軸を重んじてきた為、この東西軸を水平軸としてイメージしました。

「く」の字は蛇の鱗を表しています。水平方向に行き交う大蛇が時空を越えて息づいている姿です。群青色は個人的な禅のイメージです。仏教、特に禅宗に色濃くある「一即多、多即一」という思想は、岩絵具の粒子性と密接な関係を持っていると思います。

絵画の未来に対して悲観的な見方がある中、私は今更と思われがちな日本の伝統的な絵の表現の中にこそ、洋の東西を越えた新しい表現の可能性が満ち溢れているのではないかと考えているのです。  


「即今」

充満する四つの時間-日本画の手法-展



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