文章:松原 洋一(All About「日本画」旧ガイド)
HAYASHI KATSUHIKO |
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●林克彦
1970年 東京都出身
1995年 多摩美術大学日本画科卒業
1997年 多摩美術大学大学院美術研究科修了→その他の情報
●出会ったり別れたり、人と会話をするのが好き。楽天的なポジティブシンキングで、友人と愛少女ポリアンナばりの「よかった教」を設立。
●ホームページ
●All About Japan ガイドサイトで興味あるテーマ→【子供向けサイト】
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◇表現したいものについて |
もともと大学に入るまで日本画をよく知りませんでした。どうして知りもしない日本画を選んだかというと、高校時代通っていた美術予備校の講師の、日本画家の千住博さんが、かなり個性的でかつ魅力的な方だったためと、仲の良い友達が日本画科に多かった、とそのくらい。
両親は愛知の田舎からの上京組で、家族は両親と兄二人の五人家族。屋根は瓦ではなく、コーラを飲み、ゲームとテレビを見て育ちました。知っている名画といえばモナリザか、お金を払わないと観れないルーベンス。絵というものは、遠近法と陰影によって描かれていて、写真のように細かく描いてあればあるほど素晴らしい、そんなものと薄っすら思っていました。折りしもスーパーリアリズムという言葉があった時代です。
日本画を知り、ハイティーンになった僕は、自分の生まれた日本の文化について初めて驚きました。間の美しさの概念、遠くのものを単純に小さく描かないこと、空気の層を取り去ったような鮮やかな色彩。どれも日本で生まれ育ってきたはずなのに、知らない新鮮なことばかりでした。
日本画は僕に新しい価値を教えてくれましたが、かといって古典的な花鳥風月をモチーフに絵を描こうと思いませんでした。昔の人が描いた日常的な事を、現代の自分が描くことには無理があると思ったためです。僕が表現したいものは、現在の日常から生まれる生活の息吹や、その時々に感じたこと、日本画の画材を使いながら、それらを元気良く表現できたら、と思っています。
◇自分の作品について |
人が浮かんでいる絵のシリーズが続いております。始まりはプールの中の風景からでした。描いているうち気づいたことですが、一般的な人物画は頭が体より上に描かれています。それを逆にしてやると、それだけで絵に全く違った印象が生まれます。描いてただ説明を並べるのではなく、観ただけで感じてしまう、そんな不思議な力が絵にはあると気づきました。
「腹のみる夢」
◇いま関心のあること |
自宅で飼っているダルマインコのえっちゃんは28歳になります(さるとびえっちゃんから命名)。28歳というのはもちろん28年間生きているということです。毎年、今年の冬は越せないかも、と思い早十数年。風邪も引かず元気なのですが、ここ最近ずっと頭を傾げています。おかしい、と気づき病院に連れて行くと脳の病気ですと言われ、飲み薬をいただきました。
長生きして欲しいので、薬を飲ませたいのですが、手を出そうものならえっちゃんは凶暴で、指を食いちぎらんばかりです。気持ちだけでもと思い、飲み水に何滴か薬をたらしてみますが、効果は期待できないでしょう。首をひねりっぱなしで、さぞや疲れるだろうという心配とは裏腹に、噛み付こうとするえっちゃんを見ると、親の心子知らず、という言葉が結婚もしていない僕の脳裏をよぎります。
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