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アートオークションで巨匠作品をゲット! はじめての美術品オークション

狙いはズバリ「あまり知られていないけれども実績がある作家の作品で、装飾的ではなく画業の一環としての作風のもの」を安く手に入れ、その作品を眺めながら熱く語ることです。

執筆者:松原 洋一

アートオークションは美術品の価格を客観的な数字で把握できることや、美術品購入の経験がない人でも気軽に参加して購入できることもあって、はじめての美術品購入を考えている人にはおすすめです。

しかし最初から話題になるような高額な作品を購入するというのも困難なことだと思います。そこで、はじめて美術品の購入を考えている人のために、高額作品に劣ることなく、その作家について知れば知るほど作品に深みが増していくような、それでいて美術品としてはお手頃の価格の作品をオークションで探したいと思います。

狙いはズバリ「あまり知られていないけれども実績がある作家の作品で、装飾的ではなく画業の一環としての作風のもの」を安く手に入れ、その作品を眺めながら熱く語ることです。


掘り出しものは最大手のシンワアートオークションで

シンワアートオークションは美術品オークション最大手で「近代美術」「近代陶芸」「近代美術 Part II」の3つの部門に分かれていて、年に数回開催されています。→詳しくはホームページ

絵画が出品されるのは「近代美術」と「近代美術 Part II」で、「近代美術」では話題性のあるビッグネームが続々と登場し、高額価格で落札されていきます。

掘り出しもの狙いの場合は「近代美術 Part II」が注目です。ここでは、一般的にはあまり知られていない作家の作品が出品されます。しかし、あまり知られていないからといって、実績のない作家というわけではありません。特に現在のような不況下では、落札予想価格が5~10万円の作品でも、どこかの重役室から抜け出してきたような名品が数多く出品されています。


前回出品作を見てみると

前回の「近代美術 Part II」(3月31日開催)で落札された作品を見てみると、最も理想に近いのが川島理一郎の風景画で、2点出品されていました。

川島理一郎(1886-1971)はニューヨークの美術学校で学び、主に海外で活動をしていました。帰国後の1915年、梅原龍三郎らと国画創作協会第二部(現在の国画会)を創立、その後も白日会、新世紀美術協会の創立に参加するなど、まさに日本洋画界の黎明期を生きた画家です。→川島理一郎

現在、足利市立美術館で開催されている「川島理一郎展」では初期から晩年までの油彩、水彩、素描約100点の作品により、その画業を振り返っています。今回オークションに出た作品も画業の一環を伺わせるものです。

画業の流れが分かってくると、その画家の生きざまが見えて来ます。明治の洋画創世記に生き、創出することに苦悶した川島理一郎というひとりの画家の歴史に思いを馳せる時、彼が残した一枚の作品もまた多くを語ってくれるでしょう。この絵が家にあれば、お客さんが来るたびに一晩中熱く語ることができるに違いありません。


落札価格は

川島理一郎の風景画は、落札予想価格が2点とも5~10万円で、落札価格は17万円と18万円でした。作家の実績や作風から判断すると、考えられないほどの破格の落札価格です。もう傍観者としてのんびりと眺めているわけにはいきません。すぐにでもパドルを持って会場に駆けつけないと出遅れてしまいます!(注:パドルとは競りの時にあげる札のことで、会場で貸してくれるので持っていく必要はありません。(念のため…)


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